立川駅北口から徒歩数分、都市の喧騒の中に突如として現れるアートの世界——それがファーレ立川です。街を歩くだけで世界中のアーティストたちの作品と出会える、屋外型のパブリックアートコレクションとして多くの人に親しまれています。
「創造する」街が生んだ世界規模のアートプロジェクト
「ファーレ(FARET)」という名前には、深い意味が込められています。イタリア語で「創る・創造する・生み出す」を意味する「FARE(ファーレ)」に、立川の頭文字「T」を加えて「FARET」と名づけられました。単なる地名の組み合わせではなく、この街そのものが「創造の場」であるという意志を込めた命名です。
1994年に誕生したファーレ立川は、世界36か国92人のアーティストによる109点ものパブリックアートが、立川駅北口周辺のまちなかに設置された、国内でも類を見ない規模の野外アートコレクションです。美術館や画廊ではなく、人々が日常的に行き交う街の中にアートが溶け込んでいる点が、このプロジェクトの最大の特徴といえます。
街全体が美術館——109点の作品を探しながら歩く
ファーレ立川の魅力は、なんといっても「まち歩き」の楽しさにあります。立川駅北口を出ると、オフィスビルや商業施設が立ち並ぶエリアに、さりげなくアート作品が配置されています。壁面に埋め込まれた彫刻、広場の中央に据えられたオブジェ、地面すれすれに設置されたインスタレーションなど、その表現形式はじつに多彩です。
作品のひとつ「ウサギとカメ」は小林泰彦による作品で、誰もが知る寓話をモチーフにした親しみやすい造形が特徴です。また、陰里寿朗の「浮遊する水」や湯村光の「黒い柱」など、タイトルを聞いただけでは想像しにくい独創的な表現の作品も数多く点在しています。潮田友子、金沢健一、藤原吉志子、植村公雄、松田重仁ら国内外の気鋭アーティストたちの個性豊かな作品群が、この一帯を歩くだけで鑑賞できるのです。
地図を片手に作品を探しながら歩く「アートハンティング」は、初めて訪れる方にもリピーターにも楽しめる体験です。109点すべてを一度に見つけるのは容易ではなく、何度訪れても新たな発見があるのがこのプロジェクトの醍醐味でもあります。
子どもから大人まで楽しめる多彩なイベント
ファーレ立川では、アートをより身近に感じてもらうためのイベントが年間を通じて開催されています。地域の小学生を対象とした「ファーレ立川アート鑑賞教室」は、子どもたちが実際に作品の前に立ち、アートについて考え、感じる機会を提供しています。鑑賞教室の報告展も開かれており、子どもたちの視点からアートを捉えた成果を広く公開しています。
また、毎年開催される「ファーレ立川アート写真コンテスト」は、アート作品を被写体に撮影した写真を募集するイベントで、すでに第12回(2026年)を迎えるほど定着した人気企画となっています。街の風景とアートを切り取った作品が集まり、プロ・アマを問わず多くの参加者が腕を競います。さらに秋には「ファーレ立川アートミュージアム・デー」も開催され、通常とは異なる形でアートに触れる特別な一日として注目を集めています。
年間カレンダーとして「ファーレ立川アート2026カレンダー」が販売されるなど、アートを日常生活に取り込むための取り組みも継続的に行われています。
アートが人と街をつなぐ——その哲学
ファーレ立川アートの公式サイトには「Art brings people and place together. It connects very different people.(アートは人と場所をつなぐ。まったく異なる人々をつなぐ。)」というメッセージが掲げられています。この言葉は、単にアートを展示するだけでなく、アートを通じてコミュニティを育てようという、このプロジェクトの根本的な思想を表しています。
立川という街は、かつて米軍基地が置かれていた歴史を持ち、その返還後の再開発の一環としてファーレ立川は誕生しました。街の生まれ変わりとともに産声を上げたこのパブリックアートプロジェクトは、単なる景観づくりを超えて、「創造する街・立川」のアイデンティティそのものとなっています。世界各国のアーティストたちが異なる言語・文化・価値観をもって制作した作品が共存するこの場所は、多様性と創造性を体現した空間といえるでしょう。
アクセスと訪問のポイント
ファーレ立川は、JR中央線・南武線・青梅線の立川駅から北口を出て徒歩数分の場所に広がっています。最寄りの住所は東京都立川市曙町2丁目37−3付近で、主要な作品は立川駅北口周辺の再開発エリアに点在しています。入場料は不要で、街を歩きながら自由に鑑賞できるのが大きな魅力です。
訪れる際はぜひ公式サイト(faretart.jp)でアートマップを事前に確認しておくと、効率よく作品を巡ることができます。お問い合わせは042-523-2111まで。イベント情報は公式サイトで随時更新されているため、写真コンテストや鑑賞教室などへの参加を検討している方は最新情報をチェックしてみてください。立川に訪れた際には、ショッピングや食事とあわせて、ぜひこの屋外美術館の散策を楽しんでみてはいかがでしょうか。
交通
立川駅から徒歩圏内
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