東京・白金台に佇む東京都庭園美術館は、アール・デコ様式の本館で知られる美術館です。しかしその魅力は建物の中だけにとどまりません。四季折々の植物が彩る広大な庭園もまた、訪れる人を静かに出迎える特別な空間として親しまれています。
都心にひろがる3つの庭園エリア
目黒駅から徒歩わずかの距離にありながら、この庭園は喧騒を忘れさせるほどの緑に包まれています。庭園は「芝庭」「日本庭園」「西洋庭園」という性格の異なる3つのエリアで構成されており、それぞれが独自の風情を持っています。
もともと朝香宮邸として使われていた時代から受け継がれた「芝庭」は、見渡す限りの芝生が広がる開放的なエリアです。空が広く感じられるこの場所では、本館のアール・デコ建築を遠景に眺めながらゆっくりと散策することができます。芝生の緑と建物の白い外壁のコントラストは、四季を通じて美しい景観をつくり出しています。
「西洋庭園」にはベンチが点在し、訪れた人がひと息つける憩いの空間となっています。特に春、ワシントン桜が一斉に花開く時季は多くの人が訪れ、やわらかな桜色が庭を包み込みます。都心にいながらも、こうした季節の移ろいを肌で感じられるのがこの庭園の大きな魅力のひとつです。
和の情緒にあふれる日本庭園
起伏に富んだ地形を生かしてつくられた「日本庭園」は、3つのエリアの中でも特に趣深い空間です。小高い丘や緩やかな斜面、木々の陰が重なりあって、歩くたびに異なる表情を見せてくれます。
このエリアの中心に位置するのが茶室「光華」です。昭和11年(1936年)に上棟されたこの茶室は、武者小路千家の茶人・中川砂村(是足庵、1880〜1957)の設計によるもので、施工は大阪の数寄屋大工棟梁として知られた平田雅哉(1900〜1980)が担いました。「光華」という名は朝香宮鳩彦殿下ご自身による命名で、扁額も殿下の直筆と伝えられています。
茶席は小間・広間・立礼席の三席からなり、屋根は本体が桟瓦葺、庇が杮葺という構造です。なかでも立礼席は、明治初期に裏千家が外国人のために考案した椅子式の茶席形式を採用しており、戦前の茶室では非常に珍しいとされています。天井が高く全体的に明るく開放的な造りは、本館のアール・デコ様式と呼応するようでもあり、施主である殿下の審美眼が随所に感じられます。
平成27年(2015年)には本館等とともに国の重要文化財に指定され、現在もその価値が広く認められています。なお茶室「光華」の貸し出しは行っていませんが、庭園で定期的に開催される茶室行事に参加することで、実際にこの空間で茶を体験することができます。
庭園を彩る彫刻作品たち
東京都庭園美術館の庭園には、植物だけでなくさまざまな彫刻作品が点在しています。散策の途中、思いがけない場所で作品に出会うのも、この庭園ならではの楽しみ方です。
設置されている作品には、エドゥアール=マルセル・サンドの《横たわる豹》、オシップ・ザッキンの《住まい》、安田侃の《風》、菅原二郎の《INSIDE OUT CBG-2》、ボアズ・ヴァーディアの《ピルタイとパシュフル》などがあります。国内外の作家による多彩な作品が、庭の自然と溶け合うように配置されており、美術館としての視点から庭園を楽しむことができます。
四季の草花や木々の中で、それぞれの彫刻がどのように見えるかは訪れる時季によっても異なります。新緑の季節には葉の緑が作品の輪郭を引き立て、冬枯れの頃には彫刻そのものの存在感が一層際立ちます。庭を歩くたびに新しい発見があるのは、こうした作品の存在も大きく関係しています。
プランツカレンダーで楽しむ四季の植物
東京都庭園美術館の庭園では、時季ごとに見頃を迎える植物が公式サイトのプランツカレンダーで案内されています。春にはソメイヨシノやミツバツツジ、アセビ、オトメツバキ、ツバキ、ヤマブキなどが庭を彩り、訪れた人の目を楽しませてくれます。
それぞれの植物が持つ色や形、香りが庭に積み重なり、同じ場所でも季節によってまったく違う表情を見せてくれるのがこの庭園の奥深さです。訪問前にプランツカレンダーで見頃の植物を確認しておくと、より充実した散策が楽しめます。
利用案内と入場について
庭園の開園時間は10:00〜18:00で、日本庭園内の一部園路については安全確保のため、10月〜3月は10:00〜16:30、4月〜9月は10:00〜18:00と通行時間が設けられています。茶室の開室時間は通年10:00〜16:30で、立礼席のみ入ることができます。
休園日は毎週月曜日(祝日の場合は開園し、翌平日が休園)および年末年始です。
入場料は一般200円、大学生(専修・各種専門学校含む)160円、高校生・65歳以上100円となっており、中学生以下は無料です。展覧会のチケットを持っている場合は庭園にも入場できます。毎月第3水曜日のシルバーデーには65歳以上の方が無料で入場でき、毎月第3土曜日と翌日曜日の家族ふれあいの日には18歳未満のお子様を連れた都内在住の保護者2名まで入場料が半額となります。また2025年4月1日より、都外在住・在学の中学生以下の入場料も無料となりました。
なお庭園内では喫煙、ペット類の同伴(補助犬を除く)、ボールやラケット等を使った遊び、アルコールの持ち込みなどはご遠慮となっています。商業目的の撮影には事前に美術館の許可が必要です。ルールを守りながら、都心の豊かな緑と歴史ある建築・彫刻を思う存分楽しんでください。
交通
目黒駅から徒歩圏内
营业时间
10:00〜18:00(日本庭園は10月〜3月は16:30迄)、定休日: 毎週月曜(祝日は開園)・年末年始
预算
一般 200円、大学生 160円、高校生・65歳以上 100円、中学生以下 無料