
手火山造り鰹節のやまじゅう
GALLERY
明治20年(1887年)の創業以来、静岡県焼津市の小川新町に根を張る「やまじゅう」は、全国でも数社しか残っていない「手火山(てびやま)造り」の鰹節工房だ。家内工業のような少人数体制の中で、ベテラン職人たちが江戸時代から伝わる製法を今も守り続けている。
手火山造りとは何か
「てびやま」と読むこの製法は、直火式の焙乾(ばいかん)法だ。手間はかかるが、この方法こそが香りの強い良質な鰹節に仕上げるための最善だと、やまじゅうは信じ続けてきた。機械化が進む食品産業にあって、工程のひとつひとつを職人の手作業で積み上げていく姿勢は、長い年月をかけて磨かれた技術の結晶でもある。
削りたてを直送するこだわり
やまじゅうの鰹節が際立つ理由のひとつが、発送直前に削る鮮度へのこだわりだ。注文を受けてから削って包装し、焼津の工房から直接お客様のもとへ届ける。削ってから時間が経つと失われていく色と香りを、できる限り手元まで届けるための工夫だ。工房から食卓まで余計な流通を挟まないことが、やまじゅうが選ぶ「直送」の理由となっている。
生産者が語る「安全で安心な食」
店主と並んで発信を続けるおばあちゃんのメッセージには、現代の食品産業に対する静かな問いかけが込められている。「鰹の命をいただくくらいの気持ちで大切に扱う」という姿勢のもと、内臓は塩辛、骨はカルシウムの粉、頭は肥料、煮汁は鰹エキスの原料と、鰹のほぼ全てを使い切る。生のカツオが鰹節になるまでには多くの人の手と多くの日数がかかる——そのことを知れば、一袋の削り節が持つ重みが変わってくる。
「ちょっと面倒でも、手をかけてだしをとってみる」ことが家庭円満につながると語るおばあちゃんの言葉は、やまじゅうの商品づくりの根底にある哲学を端的に表している。
商品ラインナップ
直売所とオンラインショップでは、けずりぶし、だしぱっく、本節(枯節)、業務用けずりぶし、さらに贈答用セットまで幅広く揃う。お中元などギフトで人気の「かつお節4種セット」や、削り節とだしパックをまとめた「かつお節3種と小袋手軽だしセット」は、贈る側も贈られる側も選びやすいラインナップだ。限定生産の「てびやまシリーズ」や、鰹節を使ったそばつゆ・蕎麦なども取り扱っており、鰹節を軸にしたひとつの食文化を丸ごと体験できる品揃えになっている。
直売所と「てびやまるしぇ」
工房に隣接する直売所では、削りたての鰹節を直接購入できる(平日・土曜の営業時間外には24時間対応の自動販売機も設置)。また、工場内を会場に「てびやまるしぇ」という地元の朝市を定期開催しており、ヤマクニ水産の干物、丸又のいわし黒はんぺん、岩崎蒟蒻店のこんにゃく、岩倉製茶の新茶といった焼津・静岡の生産者が集まる。やまじゅうの鰹節を目当てに訪れながら、地域の食を一度に知ることができるのが魅力だ。
アクセス
焼津市小川新町5丁目4-9(最寄駅・徒歩分は不明)
営業時間
平日9:30〜17:00、土曜日9:00〜11:30、日祝日定休
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