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通潤酒造
※写真はイメージです。

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1770年(寛政四年)の創業から255年以上、九州脊梁山脈と阿蘇南外輪山に挟まれた熊本県山都町で酒を醸し続けてきた通潤酒造。二つの山脈が生み出す豊富な地下水と、棚田が連なる山里の風土が、この蔵のすべての酒の土台にある。

熊本県最古の蔵「寛政蔵」が紡ぐ空間

創業当時から残る「寛政蔵」は、熊本県内に現存する最も古い歴史を持つ酒蔵だ。現在はリノベーションを施し、利き酒や休憩ができる場として開放されている。酒蔵見学の受け入れも行っており、縁結び大学などのメディアで「酒蔵見学デートの舞台」として紹介されたこともある。寛政蔵にはバリアフリー設備も整っており、幅広い来訪者が利き酒セットや甘酒などのノンアルコールメニューをゆっくりと楽しめる。蔵内では季節のイベント(田植え会&ピクニックランチ、料理とのペアリング会など)も随時開催されており、単なる見学以上の体験ができる場となっている。

山里の四季が宿る銘柄たち

代表銘柄の純米吟醸酒「蟬(せみ)」は、山あいの小さな棚田で育った米を原料に使い、山里の春・夏・秋を経て、冬に杜氏の手で醸される。蔵の中でさらにゆっくりと熟成し、つくつく法師を子守歌に育つという詩情ある説明は、この酒がいかに時間と自然を味方にしているかを示している。

純米吟醸酒「蛍丸」は、阿蘇惟澄公ゆかりの刀剣「蛍丸」にインスピレーションを得た銘柄だ。「蛍が刀を癒やした」という伝承を柔らかな酒質に重ね、後切れの良さを刃のイメージと結びつけるコンセプトは、山都町の歴史と酒造りを橋渡しする独自の世界観を持っている。

オーガニック純米酒「さくや」は、無農薬米を栽培する有機農家と連携し、阿蘇山麓の土と二つの大河の源流から生まれる清水を原料の核に据えたシングル・ヴィンテージのお酒だ。同じ銘柄でも年ごとに山都の風土の違いが味に刻まれる。この「山都テロワール」という発想は、ワインの産地概念を日本酒に持ち込んだ独自のアプローチといえる。

梅酒と、蔵を超えた酒造りへの姿勢

梅酒の仕込みも自社で行っており、日本酒の枠に収まらない造り手としての幅広さを感じさせる。米、水、農家との関係、そして蔵の歴史的建造物をどう生かすかという問いを、銘柄設計とイベント運営の両面で実践している点が、通潤酒造を単なる酒蔵観光とは一線画す場所にしている。

通潤橋とともに山都町を歩く

蔵の近くには、国の重要文化財にも指定される通潤橋がある。毎週土日に放水も行われており、酒蔵見学と組み合わせて山都町の歴史的景観を一日かけてめぐるのに最適な場所だ。熊本地震からの復興を経ながらも醸造と蔵の運営を続けてきた通潤酒造は、山都町そのものの息づかいを伝える場所として、訪れる価値がある。

アクセス

熊本県上益城郡山都町浜町54

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