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高崎 少林山達磨寺

高崎 少林山達磨寺

Photo: 小池 隆 / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons
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高崎市の北西部、榛名山の麓に広がる緑豊かな丘陵地帯に、全国のだるまファンや縁起物を求める参拝者が絶え間なく訪れる禅刹がある。少林山達磨寺——その名を聞けば、だるまの産地として名高い高崎を象徴する場所として、多くの人の脳裏に鮮やかな赤い丸顔が浮かぶことだろう。この地を訪れると、境内のあちこちに奉納されたおびただしい数のだるまが静かに並ぶ、日本ではここにしかない独特の光景に誰もが息をのむ。

だるまと達磨寺の歴史

少林山達磨寺の創建は、江戸時代の元禄10年(1697年)にさかのぼる。心越禅師という中国出身の禅僧が水戸に渡来し、その縁でこの地に禅の道場が開かれた。心越禅師が達磨大師の座禅姿を一筆で描いた「一筆達磨」が、現在の高崎だるまの原型となったと伝えられている。

その後、19世紀初頭に九代目住職の東嶽和尚が、農家の副業として張り子のだるまの製法を地域の人々に広めた。当時の農村では、養蚕が盛んに行われており、だるまが蚕の繭に似た形をしていることから「蚕の守り神」として珍重された。こうして高崎だるまは地域産業として根付き、現在では全国のだるま生産の約8割を高崎が占めるまでに発展した。寺と地域の人々が一体となって育んできた、まさに生きた歴史がこの場所には息づいている。

黄檗宗(おうばくしゅう)という宗派に属する達磨寺は、禅の精神を今も真摯に守り続けている。黄檗宗は17世紀に中国から日本へ伝わった比較的新しい禅の流派で、独特の中国風建築様式や儀礼が特徴的だ。境内に漂う静謐な空気は、観光地でありながら確かに修行の場であることを実感させてくれる。

圧巻の境内——だるまに囲まれた異空間

達磨寺を訪れた人が最初に驚くのは、参道から本堂にかけて奉納されただるまの数の多さだ。願いが叶ったお礼として奉納されただるまは、大小さまざまで、その数は数千個にのぼるとも言われる。古くなっただるまは毎年1月のだるま市の時期に「だるま供養」として焚き上げられ、新たな役目を終えたものが感謝とともに送られる。この循環の中に、日本人の縁起物への向き合い方が凝縮されている。

本堂(霊符堂)は江戸時代に建てられた趣ある建物で、中には達磨大師坐像が祀られている。本堂前の広場には、特大サイズのだるまが鎮座していることもあり、記念撮影スポットとして多くの参拝者が集まる。石段を上がっていくと視界が開け、高崎市街を見渡すことができ、境内から望む景色も見どころのひとつだ。

境内を歩き回ると、さまざまな年代・大きさのだるまが奉納棚に整然と並べられているのが見える。願いを込めて片目を入れ、願いが叶ったらもう片方に目を入れる——だるまに宿った人々の願いと感謝の念を肌で感じながら歩くひとときは、都市の喧騒を離れた特別な体験をもたらしてくれる。

ブルーノ・タウトが愛した洗心亭

達磨寺には、建築ファンが必ずチェックしておきたい見どころがある。それが「洗心亭(せんしんてい)」だ。ドイツ出身の著名な建築家ブルーノ・タウト(1880〜1938年)は、ナチス政権を逃れて1933年に来日し、翌1934年から約3年間、この洗心亭に滞在した。

タウトは桂離宮や伊勢神宮など日本の伝統建築の美しさを世界に紹介した人物として知られ、日本文化への深い敬意と探求心を持っていた。洗心亭での生活の中でも、その研究と創作活動は続いた。現在の洗心亭は見学可能で、タウトが実際に使用した家具や調度品の一部が保存・展示されている(要確認)。自然に溶け込んだ素朴な佇まいの茶室で、世界的建築家が何を見つめ、何を考えていたのかを想像しながら過ごすひとときは格別だ。

だるま市と季節ごとの楽しみ方

達磨寺が最も賑わうのは、毎年1月6日・7日に開催される「高崎だるま市」の時期だ。この2日間で約20万人もの参拝者が訪れ、新年の縁起物を求めて境内は活気に満ちる。だるま市は群馬の新年の風物詩として長く愛されており、威勢の良い掛け声と共に縁起物が売り取りされる様子は、正月の特別な熱気を肌で感じさせてくれる。市では大小さまざまなだるまが並び、用途や好みに合わせて選ぶ楽しさもある。

春(3月〜4月)には境内の桜が咲き、穏やかな花見の雰囲気の中でだるまを眺めるという、この場所ならではの春の光景が楽しめる。境内は高台に位置しているため、桜越しに高崎市街を見渡す眺めも格別だ。

夏(6月〜7月)にはあじさいが境内を彩り、梅雨の時期に青や紫の花が境内を彩る。参拝者が少なく落ち着いて参拝できるこの季節は、静かにだるまと向き合いたい人にはむしろおすすめの時期かもしれない。

秋(10月〜11月)には紅葉が美しく、境内の木々が赤や黄色に染まる。古い寺院の建物とだるまのコントラストに秋の色彩が加わり、写真映えするシーンが随所に生まれる。

だるま絵付け体験

参拝だけでなく、自分の手でだるまを作る体験も達磨寺の大きな魅力のひとつだ。境内では素焼きのだるまに絵付けを行う体験が提供されており(要予約・要確認)、旅の記念として唯一無二の一品を持ち帰ることができる。顔の表情や模様を自分で描くことで、だるまへの愛着もひとしお。子どもから大人まで楽しめるアクティビティとして、家族連れやカップルにも好評だ。購入しただるまに願いを込めて片目を入れ、目標達成後にもう片方を入れる——その過程を経てこそ、だるまは本当の意味で「自分のもの」になる。

アクセスと周辺情報

少林山達磨寺へのアクセスは、JR信越本線・北高崎駅から徒歩約20分が最寄りの公共交通手段となる。高崎駅からはタクシーで約15〜20分ほど。車でのアクセスも便利で、関越自動車道・高崎ICから約15分程度。境内周辺には駐車場が整備されているため、マイカーやレンタカーでの訪問もしやすい。

周辺には、群馬の観光名所が点在している。高崎市内には縁結びで知られる「榛名神社」(市内・榛名山中腹)や、高崎白衣大観音(高崎観音)があり、これらをセットで巡るコースが定番だ。また、高崎は「高崎パスタ」の街としても有名で、市内には個性豊かなパスタ専門店が軒を連ねる。参拝後のランチに高崎グルメを楽しむのも、この地を訪れる楽しみのひとつ。

縁起物だるまの発祥地として、また禅の精神が宿る静謐な空間として、達磨寺は何度訪れても新しい発見がある場所だ。だるまに向き合うとき、人は自然と自分の願いや目標と向き合うことになる。そんな内省の時間を与えてくれる少林山達磨寺は、単なる観光スポットを超えた、心に残る場所だと言えるだろう。

アクセス

JR信越本線 群馬八幡駅 徒歩15分

営業時間

9:00〜17:00

料金目安

無料

編集部最終確認: 2026-04-25 (AI抽出)

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