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田川市石炭・歴史博物館

田川市石炭・歴史博物館

※写真はイメージです。

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田川市石炭・歴史博物館は、筑豊炭田の中心地として栄えた福岡県田川市に立つ博物館です。1983年に「田川市石炭資料館」として開館し、2005年に現在の名称へと改められました。その最大の使命は、近代日本の産業を支えた炭鉱の記憶と、この地に眠る古代の遺産を後世へ伝え続けることにあります。

世界記憶遺産・山本作兵衛の炭坑記録画

当館の圧倒的な存在感を示すのが、2011年にユネスコ世界記憶遺産へ登録された山本作兵衛氏の炭坑記録画および記録文書です。登録点数は697点にのぼり、うち記録画585点と日記等の記録文書42点を当館が所蔵し、その一部を常設展示しています。

山本作兵衛は自身が筑豊の炭坑で体験・見聞したことをもとに絵を描き続けた「炭坑(ヤマ)の語り部」です。彼の作品には、坑内での過酷な労働の様子、採炭の道具や作業風景、炭鉱集落の日常生活が生き生きと描かれており、文字記録だけでは伝わらない炭鉱労働者の実態を視覚的に記録した点が世界的に高く評価されました。日本でユネスコ世界記憶遺産に最初に登録された資料であり、その歴史的意義は格別です。

約2万点が語る石炭産業の歩み

館内が所蔵する資料総数は約2万点に及び、このうち約1万5千点が石炭資料で占められています。筑豊炭田が近代日本のエネルギー供給を担っていた時代の実物資料が体系的に収集されており、山本作兵衛の絵画世界と照らし合わせながら見ることで、坑内の光景をより立体的に理解できます。

古代史を彩る考古・歴史資料

石炭資料と並んで特筆すべきが、全国的にも著名な考古・歴史資料の充実ぶりです。当館は日本最古級とされる馬形埴輪や甲冑形埴輪を収蔵しており、古墳時代の武人文化を伝える希少な遺物として研究者からも注目を集めています。

セスドノ古墳から出土した多種多様な武器・武具・馬具も見どころの一つです。古墳時代の武装や馬術文化をこれほど豊富な点数で一覧できる機会は珍しく、九州における古代豪族の実力を物語る資料群となっています。さらに、天台寺跡(上伊田廃寺)から出土した新羅系瓦は、その文様が「日本一華麗」とされるほどの精緻さを誇ります。朝鮮半島との文化交流が盛んだった古代の一端を、この地で直接目にできる貴重な展示です。

語り部が紡ぐ生きた記録

博物館としての使命は展示にとどまりません。山本作兵衛が絵で残したように、実際に炭鉱で働いた経験者の証言を映像や文字で記録しようと、炭鉱経験者による「語り部講座」の開催や聞き取り調査が現在も積極的に行われています。記録画という形で後世に残された炭坑の記憶を、生きた声でさらに肉付けしていくこの取り組みは、博物館そのものが現在進行形の記憶装置として機能していることを示しています。石炭の時代を知る人々が少なくなりゆく今だからこそ、その営みの価値は増し続けています。

アクセス

福岡県田川市大字伊田2734番地1

営業時間

9:30〜17:30(入館は17:00まで)、定休日: 毎週月曜日(祝日時は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)

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