総合研究大学院大学
日本に数ある大学のなかでも、「大学院のみ」という特異な形態で高度な研究者を育成し続ける機関がある。それが総合研究大学院大学(SOKENDAI)だ。国立の大学院大学として1988年に設置され、日本の学術研究の最前線を担う存在として知られている。
日本唯一の「大学院大学」という存在
総合研究大学院大学は、学部を持たない大学院のみの国立大学法人である。通常の大学のように学部生を受け入れず、修士課程・博士後期課程のみを設置するという国内唯一の形態をとっている。この仕組みにより、入学した時点から高度な専門研究に専念できる環境が整っており、研究者としての成長を加速させる設計になっている。
大学の運営母体となるのは、大学共同利用機関法人と国立研究開発法人に属する各研究機関だ。国立天文台、核融合科学研究所、国立遺伝学研究所、統計数理研究所、国立極地研究所、分子科学研究所など、日本を代表する最先端研究所が「教育研究拠点」として機能し、学生はこれらの研究所に在籍しながら研究活動を行う。研究施設と大学院教育が一体化した、他に類を見ないモデルである。
多彩な専攻と研究領域
SOKENDAIには、文化科学、物理科学、生命科学、複合科学という四つの研究科が置かれ、その傘下に20を超える専攻が設けられている。宇宙科学・天文学・核融合科学・極域科学・遺伝学・生理科学・基礎生物学・統計科学・情報学・比較文化学・地域文化学など、扱う領域は極めて広範にわたる。
立川市を含む首都圏には、国立極地研究所などの拠点があり、南極・北極の観測データをもとにした環境科学・気候変動研究が展開されている。それぞれの専攻が独自の研究施設と研究プロジェクトを持ち、学生は世界水準の装置・データに直接アクセスしながら博士号取得を目指す。
超一流の指導陣と研究環境
SOKENDAI最大の特徴は、指導教員の質にある。各研究所の第一線で活躍する研究者たちが直接の指導教員となるため、最新の研究課題・研究手法をリアルタイムで学べる。ノーベル賞受賞者や国際的な学術賞を受けた研究者が在籍する研究所と連携していることもあり、世界トップレベルの知的環境に身を置くことができる。
また、大学共同利用機関という性格上、全国の大学教員・研究者も利用する大型研究設備・膨大なデータベースにアクセスできる。望遠鏡、超高磁場設備、ゲノムデータベース、南極観測施設など、一般の大学では到底利用できない設備が学習・研究の舞台となる。少人数制の指導体制のもと、教員一人ひとりと密に議論を重ねながら研究を深められる点も魅力だ。
国際性と進路・実績
SOKENDAIは開学当初から国際的な研究コミュニティとの連携を重視しており、海外の研究機関との共同研究・学生交流も活発だ。多くの専攻で講義・研究指導が英語でも行われ、外国人留学生の割合も高い。国際学会での発表を在学中から積み重ねることが奨励されており、修了時には国際通用性の高い博士号を取得できる。
修了生の進路は大学教員・研究機関研究者が中心だ。国立大学・私立大学の教員、国立研究開発法人の研究員、海外研究機関のポストドクターなど、アカデミア分野での活躍が目立つ。また近年は企業の研究開発部門や官公庁の政策立案部門に進む修了生も増えており、高度専門人材としての評価は産学官を問わず高い。
立川・多摩地域を拠点とした研究活動
東京都立川市は、国立研究開発法人の研究所が集積する学術都市としての顔を持つ。立川キャンパスに関係する国立極地研究所では、南極観測船「しらせ」による定期的な観測隊派遣を行っており、現地での実地研究に参加できる機会もある。立川市は交通アクセスが良好で、新宿・渋谷方面へはJRや多摩モノレールで容易に移動でき、都心の学術機関との交流・共同研究もスムーズだ。周辺には昭和記念公園や国営昭和記念公園など自然豊かな環境が広がり、研究に集中できる落ち着いた生活環境が整っている。
研究者を目指す人へ
SOKENDAIは、将来的に研究者・教員として独立することを強く志す人に向いた場所だ。学部卒業後に進学する修士課程から、あるいは修士修了後に進む博士後期課程からの入学が可能で、一部専攻では飛び入学制度も設けている。研究テーマを自ら設定し、世界最高水準の環境と指導のもとで深く掘り下げる経験は、学術キャリアの礎として比類ない価値を持つ。「研究者になりたい」という明確な意志を持つ人にとって、これ以上ない進学先の一つといえるだろう。
アクセス
東京都立川市緑町10-2
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