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総合研究大学院大学

総合研究大学院大学

Photo: pcs34560 / Public domain / Wikimedia Commons
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日本の学術研究の最前線に立つ、ひとつだけ異彩を放つ大学がある。大学院のみを置き、卒業生のすべてが博士号を目指す——それが総合研究大学院大学(通称:総研大)だ。東京都立川市にも拠点を構えるこの国立大学院大学は、国内外の研究者を志す人々にとって、憧れの研究の場となっている。

「大学院大学」という唯一無二のかたち

総合研究大学院大学は、1988年(昭和63年)に設置された、日本で唯一の「大学院大学」だ。学部を持たず、博士後期課程(3年制)および五年一貫制博士課程(5年制)のみを設置しているため、入学する学生はすべて博士号の取得を目指す。

一般の大学とは根本的に異なる仕組みは、入学後の研究スタイルにも如実に表れる。学生は総研大の学籍を持ちながら、全国各地に点在する国立の研究機関や大学共同利用機関において、日々の研究活動を行う。「大学」と「研究所」を一体化させたこのモデルは、日本の先端科学・学術研究を支えるインフラとして機能しており、同様の仕組みを持つ大学は日本にほかに存在しない。

多彩な研究分野と専攻

総研大が擁する研究分野は、自然科学から人文科学まで幅広い。大学は複数の研究科に分かれており、それぞれが国内トップクラスの研究機関と連動している。

物理科学研究科では素粒子物理学・宇宙科学・核融合科学などを扱い、生命科学研究科では遺伝学・基礎生物学・生理科学を学ぶことができる。また、文化科学研究科では日本歴史研究・比較文化学・地域文化学などを扱うほか、複合科学研究科では極域科学・統計科学・情報学・加速器科学なども擁している。さらに先導科学研究科では生命共生体進化学という独創的な分野を追求する。

このように、理系・文系・学際領域を横断するかたちで専攻が組まれているため、特定の学術的興味に応じた細かな専門化が可能だ。どの専攻も、その分野で日本有数の研究機関と直結しており、最先端の環境で学べるのが最大の魅力といえる。

国立研究機関との強固な連携

総研大の最大の特色は、国立研究機関・大学共同利用機関との一体的な教育体制にある。学生が実際に研究活動を行う場所は、東京・立川にある国立極地研究所、統計数理研究所、国文学研究資料館、茨城県つくばの高エネルギー加速器研究機構(KEK)、静岡県三島の国立遺伝学研究所、長野県の国立天文台野辺山観測所、大阪の国立民族学博物館など、全国に及ぶ。

これらの機関に所属する教員が総研大の指導教員を兼任しており、学生は世界水準の設備と研究コミュニティの中で学ぶことができる。民間企業の研究開発施設では再現できない大型施設——電子顕微鏡、加速器、電波望遠鏡、南極観測拠点など——を実際の研究で使用できる点は、他に類を見ない教育環境だ。

また、研究機関同士の横断的な研究プロジェクトにも参加できる機会があり、異分野との融合研究を通じて、より広い視野と応用力を養うことができる。

研究者を育てるカリキュラムの特徴

総研大のカリキュラムは、「研究者としての自立」を最大目標に設計されている。入学後は早期から指導教員とのマンツーマンに近い関係で研究を進め、学術論文の執筆・国際学会での発表・共同研究の立案など、研究者として必要なスキルを実践的に身につける。

大学全体として英語による研究発信を重視しており、英語論文の作成支援や国際連携プログラムも整備されている。海外の研究機関との交流も活発で、短期・長期を問わず、海外留学や共同研究の機会を得やすい環境が整っている。

各専攻では、年次ごとに研究発表の場が設けられ、進捗状況を定期的に評価・指導するサイクルが確立されている。これにより研究の方向性を随時調整しながら、質の高い博士論文の完成を目指すことができる。

卒業後の進路と実績

総研大の修了生は、大学・研究機関・公的機関・民間企業など、幅広い分野へ進んでいる。とくに国立大学や国立研究機関の研究職・教員職に就く割合が高く、日本の学術界における存在感は大きい。

海外の大学や研究機関に研究者として就職するケースも多く、国際的なキャリアを歩む修了生も少なくない。博士号という高い学位を持ち、かつ世界水準の研究機関で鍛えられた実績は、国内外問わず評価されやすい。

理系分野では製薬・バイオテクノロジー・IT・宇宙関連産業への就職実績もあり、民間の研究開発部門でも総研大出身の研究者が活躍している。文化科学系の修了生は、博物館学芸員・研究員・文化財専門職など、文化・歴史分野の専門職にも就いている。

立地とアクセス

総研大の本部は神奈川県三浦郡葉山町に置かれているが、東京都立川市緑町10-3にも重要な研究拠点がある。立川市の拠点は、国立極地研究所、国文学研究資料館、統計数理研究所などを擁する「国立研究開発法人等連携エリア」の一角に位置しており、研究機関が集積した学術的な環境が整っている。

交通アクセスは多摩都市モノレール「高松駅」が徒歩圏内にあるほか、JR中央線「立川駅」からもバスを利用してアクセスできる。周辺には昭和記念公園など広大な緑地があり、研究に集中しやすい落ち着いた環境が整っている点も特長のひとつだ。

研究者を目指す意欲ある学生にとって、総合研究大学院大学は「研究の最前線に飛び込む」という理想を現実にしてくれる場所だ。大学院大学というユニークな仕組みと、国立研究機関との深いつながりは、日本の科学・学術を支える次世代研究者を生み出し続けている。

アクセス

東京都立川市緑町10-3

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