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布目旅館<焼尻島>

布目旅館<焼尻島>

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北海道の日本海に浮かぶ小さな離島、焼尻島。その玄関口である焼尻港のほど近くに、島でいちばん長い歴史を誇る宿が静かにたたずんでいる。それが「布目旅館」だ。港の潮風と、島の豊かな海の幸に包まれながら、日常の喧騒を忘れるひとときを過ごせる。

焼尻島という秘境

焼尻島は、北海道留萌振興局の苫前郡に属する、周囲約12キロメートルの小さな島だ。人口は数百人ほどで、手つかずの自然が今も色濃く残る。島の約8割が天然林に覆われており、オンコ(イチイ)の原生林をはじめとした豊かな生態系が保たれている。メノウ浜と呼ばれる石英石が敷き詰められた海岸線、波静かな入り江、どこまでも続く緑の丘陵——大自然のなかにしか存在しないような風景が随所に広がる。

本州や道内の主要都市からのアクセスは容易ではないが、だからこそこの島は「秘境」としての魅力を保ち続けている。観光客の数も多すぎず、島の静けさと住民の暮らしがそのまま感じられる。旅慣れた人ほど、焼尻島のような場所に強く惹かれるのはそのためだろう。

老舗の宿が受け継ぐおもてなし

布目旅館は、焼尻島のなかでも特に長い歴史を持つ老舗の宿だ。島を訪れる旅人を長年にわたって迎え続けてきた家族経営の旅館で、世代をこえて受け継がれてきたあたたかいもてなしの精神が、館内のあちこちに感じられる。フロントで出迎えてくれるスタッフの気さくな笑顔から、島のことをよく知った地元ならではの情報まで、旅の最初から最後まで安心して身をゆだねることができる。

客室は和室を基本とし、清潔感のある畳の間でゆったりとくつろぐことができる。窓からは焼尻港の穏やかな海景が広がり、島に渡ってきたフェリーが港に着く様子や、漁師たちが早朝から船を出す風景を眺めながら、離島の朝の空気を肌で感じることができる。部屋数が少ないこともあり、プライベートな雰囲気のなかでゆっくりと過ごせる宿だ。

新鮮な海の幸を味わう食事

布目旅館の食事は、訪れた旅人が口をそろえて絶賛する名物だ。焼尻島の周囲の海は、豊富な海藻が育つ好漁場として知られており、そのなかでも特に名高いのがウニだ。磯の香り豊かな焼尻の生ウニは、とれたての鮮度のまま食卓に並ぶ。産地直送とはまさにこのことで、市場や都市部のレストランでは味わえない濃厚な甘みが口の中にひろがる。

そして布目旅館の名物料理として多くのリピーターを惹きつけているのが「浜鍋」だ。その日に水揚げされた魚介類を、磯の風味そのままに楽しむ鍋料理で、素材そのものの味を存分に引き出したシンプルな仕立てが特徴だ。ホタテ、カニ、タコ、ホッケなど、北海道の日本海側で獲れる豊かな幸が一度に楽しめる。旅の夜に囲炉裏を囲むような感覚で鍋をつつく時間は、焼尻島の旅を忘れがたい記憶にしてくれる。

朝食は、地元の食材をふんだんに使った和定食が基本。島の澄んだ空気のなかで食べる朝ごはんは、どんな豪華なホテルの朝食にも勝る滋味深さがある。

焼尻島の自然と観光スポット

布目旅館を拠点にすれば、焼尻島の見どころをひととおり巡ることができる。島は小さいながらも、見逃せないスポットが点在している。

島の東側に広がるオンコの原生林は、焼尻島を代表する自然景観だ。樹齢数百年に及ぶ巨木が生い茂る林の中を歩くと、時間の流れが止まったような静寂に包まれる。野鳥の鳴き声と木漏れ日だけが存在する空間は、都市生活の喧騒を忘れさせてくれる。

メノウ浜では、波に磨かれた半透明の石英石(メノウ)が浜一面に敷き詰められており、そのほかの砂浜とはまるで異なる不思議な景色が広がる。足元に広がる石たちを眺めながら歩くだけでも、不思議な充足感を覚える場所だ。

島の最高地点付近からは、晴れた日には利尻富士や天売島、さらには北海道本島の山々まで望むことができる。春から夏にかけては花々が咲き誇り、秋には紅葉が島全体を彩る。季節ごとに異なる表情を見せるのも焼尻島の魅力のひとつだ。

自転車で島を一周するのも人気のアクティビティで、レンタサイクルを活用すれば半日ほどで島の主要スポットを巡ることができる。徒歩でのんびりと歩く旅が好きな人も、牧歌的な島の風景を楽しみながら散策できる。

アクセスと利用シーン

焼尻島へのアクセスは、北海道留萌振興局の羽幌町にある羽幌港からフェリーを利用する。羽幌港からの所要時間は約2時間ほどで、天売島を経由する便も運航されている。フェリーの運航本数は季節によって異なるため、事前に時刻表を確認してから旅程を組むのがよいだろう。

羽幌町へは、札幌から高速バスや車でのアクセスが一般的だ。所要時間はおよそ3〜4時間。旭川方面からも国道を使ったルートで向かうことができる。離島ゆえに気象条件によってはフェリーが欠航することもあるため、スケジュールに余裕を持たせた旅行計画が賢明だ。

布目旅館は、さまざまな旅のスタイルや目的に対応できる宿だ。ひとり旅でゆっくりと島の自然を楽しみたい方、カップルで非日常の空間を過ごしたい方、友人同士で絶品の海の幸をたっぷり堪能したい方——それぞれのニーズに応じたあたたかいもてなしが待っている。島の民宿ならではのアットホームな雰囲気は、大型ホテルでは得られない特別な体験を提供してくれる。

焼尻島という非日常の空間で、港を一望しながら過ごす一夜。布目旅館での滞在は、北海道旅行のなかでもひときわ記憶に残る、とっておきの体験になるはずだ。

アクセス

羽幌港よりフェリー又は、高速船で焼尻港下船(札幌〜羽幌直通バスあり)/焼尻港より徒歩5分

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