
カフェ & イン 吉里吉里
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日本海に沿って延びるオロロンライン。その途中、羽幌町にひっそりと佇む「カフェ & イン 吉里吉里」は、全国各地から訪れるライダーや旅人たちが口コミで語り継ぐ、知る人ぞ知る宿だ。派手さはないが、ここにしかない温かみと歴史が旅人の心をつかんで離さない。
オロロンラインの旅人が集うロードサイドイン
オロロンラインは、小樽から稚内まで約400キロにわたって日本海沿岸を縦断する国道232号・106号の愛称だ。その雄大な景色と風景の変化から、バイクツーリストやサイクリスト、自由旅行者に絶大な人気を誇るルートで、毎年多くの旅人がこの道を目指して北海道へやってくる。
カフェ & イン 吉里吉里は、そのオロロンライン沿いの羽幌町に位置するロードサイドインだ。道路に面した立地はまさに旅の途中に立ち寄りやすく、バイクを止めて一息つく旅人たちの姿が絶えない。長年にわたり「旅人たちのクロスロード(交差点)」として機能し、ここで出会った旅人同士がそれぞれの旅先の情報を交換し合う、そんな交流の場としても愛されてきた。
カフェを併設しているため、宿泊客だけでなく通りすがりのドライバーやライダーが休憩がてら立ち寄ることも多く、旅の疲れを癒す一杯のコーヒーとともに、旅人たちの会話が自然と生まれる。そういった人の温度感が、吉里吉里を単なる宿泊施設以上の存在にしている。
30年以上続く「吉里吉里ライダーズ名鑑」の伝説
この宿を語るうえで欠かせないのが、30年以上の歴史を持つ「吉里吉里ライダーズ名鑑」だ。北海道をバイクで走るライダーのあいだでは広く知られたこの名鑑は、ここを訪れたライダーたちが名前や出身地、バイクの車種、一言コメントなどを書き残してきた記録帳で、今や何冊にも及ぶ貴重な旅の記録となっている。
ページをめくると、北は北海道から南は九州・沖縄まで、全国あらゆる地域のライダーたちの足跡が刻まれている。かつてここに泊まった旅人が数年後に再訪し、自分の名前を見つけて感慨に浸るという話も珍しくない。名鑑はいわば、吉里吉里という場所が育んできた「旅の連帯感」の証でもある。
バイクで北海道を旅するなら、ライダーズ名鑑に自分の名を刻むことが一つの通過儀礼のようになっており、「いつか吉里吉里に泊まる」を目標に旅の計画を立てるライダーも少なくない。バイク乗りでなくても、その分厚い歴史に触れるだけで旅のロマンを感じることができる。
客室と館内の雰囲気
吉里吉里は飾らない実直な宿だ。豪華さや洗練された内装を求めるリゾートタイプの施設ではなく、長距離を走った旅人が求める「清潔で落ち着ける場所」としての機能を大切にしている。
客室はシンプルな造りで、旅の疲れをしっかりとほぐすことに重点が置かれている。1日走り続けたライダーやサイクリストが必要とするのは、余計なものがなくぐっすり眠れる空間だ。宿泊者専用の駐車場は7台分が無料で用意されており、バイクや自転車の置き場にも困らない。羽幌の夜、静かな環境の中で翌日の旅への英気を養える。
カフェスペースは館内の交流の場としても機能しており、夕暮れ時には宿泊者同士が今日の走行ルートや明日の目的地について語り合う風景が見られる。北海道の旅ならではの情報交換の場として、旅人にとってかけがえない時間が流れる。
羽幌町と周辺の観光スポット
羽幌町は留萌管内に属し、人口約6,000人ほどの小さな港町だ。しかし小さいながらも見どころは多い。まず外せないのが天売島・焼尻島へのフェリーアクセスだ。羽幌港から定期フェリーが運航しており、ウミガラスやオロロンドリが繁殖する天売島は「海鳥の聖域」として知られ、野鳥観察のスポットとして全国から愛好家が訪れる。焼尻島は羊の放牧が有名で、のどかな島の風景が旅人を癒す。
羽幌町内では「北はらも海鮮市場」などで地元の新鮮な海産物を楽しめるほか、道の駅「ほっと♡はぼろ」では羽幌ブランドの甘エビや甘辛いタコ製品などのご当地グルメも充実している。羽幌炭田の歴史を伝える施設もあり、かつて炭鉱で栄えた北海道の歴史に触れることもできる。
宿から足を延ばせば、苫前町の「風力発電の森」や、増毛町の国稀酒造(北海道最北の酒蔵)なども近圏のスポットとして人気が高い。オロロンラインをさらに北上すると、サロベツ原野や稚内・宗谷岬へと続く大自然のドライブルートが続く。
アクセス情報と利用案内
吉里吉里へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合、JR留萌駅から沿岸バス「豊富行」に乗車して約70分で到着する。留萌駅はJR函館本線・深川駅から留萌本線(現在は一部廃線区間に注意)で接続しており、鉄道とバスを乗り継いで辿り着くことができる。バスの本数は限られるため、事前に時刻表の確認が必須だ。
車やバイクでのアクセスはオロロンライン(国道232号)を走れば直接到着できる。旭川・深川方面からは国道233号で留萌を経由し、そのまま海沿いに北上するルートが一般的だ。札幌からの場合は高速道路で深川まで行き、そこから国道に乗り換えると効率よく向かえる。
駐車場は7台分・無料・予約不要で使えるため、車でのアクセスもストレスがない。連休や夏のツーリングシーズンは宿泊者が集中することが予想されるため、宿泊を希望する場合は早めの連絡・予約が望ましい。
こんな旅人におすすめ
カフェ & イン 吉里吉里は、目的地に急ぐ旅ではなく「旅そのものを楽しむ」スタイルの人にこそ刺さる宿だ。バイクで日本一周を目指すライダー、自転車で北海道を縦断するチャリダー、ひとり気ままに旅を続けるバックパッカー。そういった旅人たちが自然と集まり、旅の話に花を咲かせる。
ライダーズ名鑑に名前を刻んで次の旅人にバトンを渡す、その行為そのものが旅の醍醐味と感じられる人なら、きっとここを訪れたことが一生の記憶になるだろう。豪華なホテルにはない、人と人とのつながりと旅の物語が宿る場所——それが「カフェ & イン 吉里吉里」だ。
アクセス
JR 留萌駅より沿岸バス豊富行にて70分
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