
金沢湯涌温泉 日本料理 さかえや
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金沢市街から車で約30分、深い緑に抱かれた湯涌温泉の里に、ミシュランが「最上級の快適」と称した宿がある。全7室だけの小さな宿「さかえや」は、数の少なさを強みに変えた究極のおもてなしで、訪れる人を非日常の世界へと誘う。
加賀の奥座敷、湯涌温泉という場所
湯涌温泉は、金沢の奥座敷とも呼ばれる山間の温泉地。戦前から文人墨客が訪れたことで知られ、詩人・北原白秋もこの地を愛したと伝わる。渓谷沿いに旅館と共同浴場が点在する小さな温泉街は、金沢の観光スポットとはまったく異なる時間が流れており、石畳の小道を歩けば昭和の空気が色濃く残っている。
四季を通じて表情が変わるのもこの地の魅力だ。春は新緑が渓谷を染め、夏は木々の緑が日差しをやわらげ、秋は紅葉が山を彩る。冬には雪景色の中に湯けむりが立ちのぼり、温泉情緒が一層深まる。金沢という国際的な観光地の近くに位置しながら、静寂と自然に満ちたこの環境こそ、さかえやが愛される理由のひとつでもある。
全7室、少数精鋭のおもてなし
さかえやの客室はわずか7室。大型旅館では決して実現できない、きめ細かい個別対応がここの真骨頂だ。チェックインの時間ひとつをとっても、ほかの宿泊客と鉢合わせることなく、スタッフが一組一組に向き合う時間を確保できる。宿全体が静かに機能し、「人の目が気になる」ということがない。
客室はいずれも和室を基調とし、渓谷の緑や山の風景を望む造りとなっている。広縁や床の間など、日本の伝統的な旅館建築の様式を踏まえながらも、清潔感と落ち着きを重視した空間設計が施されている。室内には余計なものを置かず、シンプルに整えられた佇まいが、訪れる人に本物の静寂をもたらす。
リピーターが多いのも少人数制ならではの強みで、二度目・三度目の来訪者にはスタッフが顔と名前を覚えており、前回の好みや特別な事情を踏まえた対応が自然に行われるという。口コミでの高評価は、そうした人の温かみに裏打ちされたものだ。
部屋食で味わう、四季の日本料理
さかえやの最大の特徴のひとつが、すべての食事を客室でいただく「部屋食」スタイルである。食事処や大広間に移動する必要がなく、自室のくつろいだ空間で、着替えることも気を遣うこともなく料理に向き合える。旅の疲れを抱えたまま食卓につけるこの形式は、特に年配のゲストや連泊客から高い支持を受けている。
料理は金沢の食文化を体現する加賀料理をベースとした日本料理。能登の海産物、加賀野菜、金沢の伝統食材などを取り入れた季節の献立は、料理人が旬の素材に向き合いながら丁寧に仕上げる。先付から始まり、椀物、向付、焼き物、炊き合わせと続く懐石の流れに沿いながらも、土地の旬を映した一品一品が膳を彩る。
特に石川県は魚介の宝庫として知られ、冬の寒ブリや加能ガニ(ズワイガニ)、春のホタルイカ、夏のノドグロなど、季節によって食卓に並ぶ主役が変わる。地のものを活かした料理と、湯涌の山里の静けさが重なるとき、食事そのものが旅の中心的な体験となる。
湯涌の湯と温泉文化
湯涌温泉の湯は、肌にやさしい弱アルカリ性のナトリウム・カルシウム塩化物泉。滑らかな湯ざわりで、入浴後は肌がしっとりと落ち着くため「美人の湯」とも呼ばれる。疲労回復や神経痛、冷え性などへの効能が知られ、古くから湯治目的での来訪も多かった。
さかえやの温泉は、そうした湯涌の良質な源泉を使用している。温泉街には共同浴場「白鷺の湯」もあり、宿泊中に外湯めぐりを楽しむのも湯涌ならではの過ごし方だ。湯涌の象徴的な存在である「湯涌稲荷神社」や「江戸村」なども徒歩圏内にあり、温泉と歴史散策を組み合わせた滞在が楽しめる。
金沢観光とのアクセス
湯涌温泉は金沢市街から車で約30分、バスでのアクセスも可能で、北陸鉄道バス「湯涌温泉行き」が金沢駅から直行で運行されている。金沢は言うまでもなく、ひがし茶屋街、兼六園、金沢21世紀美術館、近江町市場など見どころが豊富な都市。さかえやを拠点にしながら日中は金沢市内を観光し、夕刻には温泉の里に帰ってくる、という旅のスタイルが成り立つ。
北陸新幹線の金沢駅からも乗り換え一本でアクセスできるため、東京・名古屋・大阪からの日帰り圏内でありながら、宿泊することで市街地にはない深い旅情が得られる。週末の小旅行から特別な記念日旅行まで、用途の幅は広い。
こんな人に選ばれる宿
さかえやが特に支持されるのは、賑やかな大型旅館ではなく「静かに過ごしたい」という旅人だ。夫婦や恋人同士のカップル旅行、親との記念旅行、長年の友人と訪れる大人の旅など、人との深い時間を大切にしたい場面に向いている。部屋食スタイルとこじんまりとした宿のつくりが、周囲を気にせず二人だけの時間に集中できる環境を作り出している。
また、金沢に何度か来たことがあり、メジャーな観光スポットは一通り回った、という旅慣れた人にも発見がある。湯涌温泉エリアは市内観光地と比べて訪れる人が少なく、落ち着いた雰囲気の中で金沢の別の一面に触れられる。ミシュランの評価を信頼して訪れる旅行者にとっても、その基準に応える質が確かに宿の随所に宿っている。
アクセス
金沢西ICよりお車で約30分 / 金沢駅より「湯涌温泉行バス」約40分
料金目安
¥11,550 〜
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