奥祖谷二重かずら橋は、徳島県三好市東祖谷菅生、剣山の西麓を流れる祖谷川上流に架かる二本のシラクチカズラ製の吊り橋です。下流の有名な「祖谷のかずら橋」よりさらに約20kmほど山奥に位置し、観光化が進んだ祖谷とは異なる手つかずの渓谷美を残しています。長さ約44mの「男橋」と約22mの「女橋」が並んで架かることから「二重かずら橋」あるいは「夫婦橋」と呼ばれ、全国的に見ても極めて珍しい構造です。
この地はかつて源平合戦に敗れた平家の落人たちが隠れ住んだと伝えられ、追手が迫った際にすぐに切り落として逃げられるよう、敢えて蔓だけで橋を組んだのが起源とされます。橋を渡ると足元の隙間から眼下のエメラルドグリーンの渓流が見え、揺れと相まってスリル満点。手すりにもカズラが用いられ、原始的な工法をそのまま今に伝えています。
橋のたもとには、川面を綱で渡る「野猿(やえん)」と呼ばれる人力ロープウェイがあり、籠に乗って自分で綱をたぐりながら対岸へ渡る体験ができます。これも平家の落人が用いた渡河手段の名残とされ、訪れた人々に大人気です。周辺は剣山国定公園の一部で、ブナやミズナラの原生林に覆われ、春の新緑、夏の深い緑、秋の鮮やかな紅葉と、四季折々に異なる表情を見せてくれます。
冬期(12月から3月頃)は積雪・凍結のため閉鎖されますが、それ以外の季節は早朝から夕刻まで自由に渡橋可能。アクセスは険しい山道で公共交通の便は限られるため、自家用車またはレンタカーでの訪問が一般的です。途中には日本三大秘境のひとつとされる祖谷の集落や落合集落の景観もあり、四国山地の奥深さを体感する旅にふさわしい目的地。秘境を愛する旅人にとって、一度は訪れたい四国屈指の絶景スポットです。
アクセス
JR阿波池田駅から車で約2時間。剣山スーパー林道経由、東祖谷菅生地区。冬期閉鎖。
営業時間
日の出〜日没(4月〜11月、冬期12月〜3月閉鎖)
料金目安
渡橋料 大人¥550/小人¥350