東京から日帰りで楽しめる山歩きとして、西多摩エリアの日の出山は登山初心者からベテランまで幅広く人気を集めています。標高902mという親しみやすい高さと、季節ごとに表情を変える豊かな自然、そして下山後に待つ名湯「つるつる温泉」が揃うこのコースは、週末の小旅行として申し分のない充実感を約束してくれます。
日の出山とあじさいの魅力
日の出山は東京都西多摩郡日の出町に位置する標高902mの山です。奥多摩の山々と比べると標高こそ控えめですが、山頂からの眺望は関東平野を広く見渡せる開放的なもの。晴れた日には富士山のシルエットを望むこともできます。
この山が特に注目を集めるのが、6月下旬から7月初旬にかけてのあじさいの季節です。登山道沿いにはヤマアジサイやガクアジサイをはじめとするあじさいが群生し、梅雨の雨に濡れながらも鮮やかに咲き誇ります。青や紫、白に染まる登山道を歩く体験は、晴れの日とはまた異なる情緒があり、この時期を狙って訪れるハイカーも多くいます。標高が上がるにつれて咲き具合が変わるため、コース全体を通じてあじさいとの出会いを楽しめるのも魅力です。
御岳山からの縦走コース
日の出山へのアクセスルートはいくつかありますが、最も人気が高いのが御岳山(標高929m)からの縦走コースです。御岳山山頂付近にある武蔵御嶽神社は、崇神天皇の時代に遡るとも伝わる由緒ある神社で、多くの参拝者を集めています。御嶽山ケーブルカーを使えば容易にアクセスできるため、観光客にも広く親しまれているスポットです。
御岳山山頂から日の出山へは、尾根沿いの比較的なだらかな道が続きます。歩行時間はおよそ1時間から1時間半程度で、急峻な箇所が少ないため初心者でも無理なく歩けます。道中には杉や檜の森が広がり、夏でも木陰が多く涼しく歩けるのが特徴です。6〜7月のシーズンには、この縦走路沿いにもあじさいが点在し、歩きながら花を愛でる贅沢な時間を過ごせます。
つるつる温泉側から登る「温泉コース」もあります。つるつる温泉前のバス停から登山口を経て山頂まで約2〜2.5時間のルートで、こちらもファミリーや初心者向けに整備された道が続きます。体力や目的に合わせてルートを選べるのも、日の出山ハイキングの魅力の一つです。
季節ごとの楽しみ方
日の出山は一年を通じてハイキングが楽しめる山ですが、季節によって全く異なる顔を見せてくれます。
春(4〜5月)は山麓から山腹にかけてヤマツツジやミツバツツジが咲き、淡いピンク色が山肌を染めます。杉の新芽が萌え出る若葉の季節でもあり、瑞々しい緑の中を歩く喜びがあります。
梅雨から夏(6〜7月)はまさにあじさいの最盛期です。梅雨の雨がしっとりと彩るあじさいの群生は、この山ならではの景観。山頂での眺めは霞がかることもありますが、雲の切れ間から見える関東平野の眺めは幻想的な美しさがあります。
秋(10〜11月)は紅葉が山全体を赤や黄に染め上げます。カエデやブナの紅葉が鮮やかな時期で、山頂からの眺望と紅葉のコントラストを楽しめます。空気が澄んでいるため、晴れた日には遠くまで見晴らすことができます。
冬(12〜2月)は積雪や凍結がなければ、空気が澄み切っており、山頂からの富士山の眺めが最も美しい季節ともいわれます。訪問の際は登山道の状況を事前に確認し、アイゼンなどの装備を検討することをおすすめします。
つるつる温泉で旅を締めくくる
山を下りた後の楽しみといえば、なんといっても「生涯青春の湯 つるつる温泉」です。日の出山の麓、日の出町に位置するこの日帰り温泉施設は、その名の通り「つるつる」とした肌触りが特徴のアルカリ性単純温泉です。
泉質はpH9以上のアルカリ性で、肌の角質を穏やかに溶かし、入浴後に滑らかな肌触りをもたらします。「美人の湯」としても知られており、登山の汗を流しながら美肌効果も期待できる嬉しい温泉です。内湯と露天風呂を備え、登山後の疲れた筋肉をじっくりとほぐすことができます。四季折々の自然に囲まれた露天風呂は、特に秋の紅葉シーズンに格別の趣を見せます。
施設内には食事処も併設されており、登山後の空腹を満たすメニューが揃っています。地元の食材を使った定食や、そばなどを味わいながら山歩きの余韻に浸るひとときは、ハイキングならではの楽しみです。温泉と食事をセットで楽しむプランは多くのリピーターから支持されており、日の出山ハイクの定番の締めくくりとして定着しています。
営業時間や定休日は季節によって変わる場合があるため、訪問前に公式情報を確認しておくことをおすすめします。
アクセスと周辺情報
日の出山へのアクセスは、JR五日市線の武蔵五日市駅が起点となります。駅からつるつる温泉行きのバスが運行しており、終点のつるつる温泉バス停で下車すれば登山口まですぐです。バスの本数は限られているため、事前に時刻表を確認し、帰りのバスも把握しておくとスムーズです。
御岳山コースを利用する場合は、JR青梅線の御嶽駅からバスでケーブルカー下駅まで行き、御岳山ケーブルカーで山上駅へ向かいます。山上駅から武蔵御嶽神社を経て日の出山へと縦走し、つるつる温泉に下山するルートが、このエリアの定番コースとして広く定着しています。ケーブルカーを利用することで登りの体力を節約でき、縦走コースでも無理なく歩ける点が魅力です。
周辺には奥多摩エリアの観光スポットも多く、奥多摩湖や御岳渓谷を組み合わせた旅行を楽しむ方も少なくありません。御岳山のロックガーデンは、苔むした岩と清流が織りなす幻想的な景観で、体力に余裕がある方にはぜひ立ち寄ってほしいスポットです。都心からのアクセスの良さと豊かな自然を兼ね備えた日の出山は、東京近郊の山歩き入門として、そして何度でも訪れたい名山として、多くのハイカーに愛され続けています。
アクセス
JR五日市線武蔵五日市駅からバスで25分
営業時間
散策自由(温泉は10:00〜20:00)
料金目安
860円(温泉入浴料)