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明通寺
※写真はイメージです。

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小浜市街地から南東へ山々の稜線を追うように進むと、松永地区の長閑な田園風景が広がり、その先に「幽谷」と呼ぶにふさわしい深い山間が現れる。福井県の建造物として唯一、国宝の指定を受けた真言宗御室派の古刹・明通寺は、その緑深い谷の奥に静かに建っている。拝観料500円で内陣まで案内を受けられる体験型の参拝スタイルも、他の名刹にはない大切な特徴だ。

坂上田村麻呂の願いから始まった古刹の歴史

大同元年(806年)、征夷大将軍・坂上田村麻呂が東北遠征の帰路に創建したと伝えられる。長年にわたって戦った蝦夷たちの浮かばれない魂を弔いたいという将軍の切なる願いが、この寺の起点にある。寺伝によれば、坂上田村麻呂の枕元に老居士が現れ、命ずるままに境内に生える棡(ゆずりは)の木を彫り出したものが御本尊の三体であるという。今も境内には、寺の山号「棡山(ゆずりざん)」の由来となったその棡の大木が植わっており、1200年以上の歴史を根元から感じさせる。

山門へと誘う急な石段と鎌倉の金剛力士像

松永川に架かる朱色の橋を渡り、山門へ向かう急な階段を一段ずつ上り始めると、最初に参拝者を出迎えるのが阿吽一対の金剛力士像だ。像高190cm、朱の彩色をまとい、血管の浮き出た隆々たる筋肉、玉眼のギョロリとした目が迫力をもって出迎える。鎌倉時代の作とされ、小浜市内に現存するものとして最も古い仁王像と位置づけられている。

本堂と三重塔──二棟が並び立つ国宝の空間

階段を上り切った境内には、本堂と三重塔がほぼ同時に視界に収まる。木々の葉ずれの音が聞こえ、沢蟹や蛙が石畳の上をゆっくり歩くさまが目に入る。奈良の東大寺や法隆寺に通じる建築の存在感をもちながら、そこには深山の清澄な空気と生き物の気配が加わっている。

現在の本堂は正嘉2年(1258年)の再建で、入母屋造り・檜皮葺の屋根が森の緑と溶け合う。三重塔は文永7年(1270年)の建立。高さ約22m、屋根上に立つ相輪の高さ約7mという堂々たるスケールを誇り、上層に向かうにつれて寸法を絞ることで生まれるプロポーションの美しさは、眺めているだけで呼吸が落ち着いてくる。塔の内部には釈迦三尊像と阿弥陀三尊像が安置され、壁面には極彩色の仏教画が施されている。

平安後期の傑作三尊──本堂内陣の圧倒的な仏像群

本堂への拝観は住職の案内で行われる。内陣に一歩入ると、正面中央に薬師如来坐像(像高144.5cm、重要文化財、平安時代後期)が座す。深く刻まれた衣紋のひだ、慈悲をたたえた掌、そして恍惚とした半眼──じっと見つめていると、こちらの意識がその瞳に引き込まれていくような感覚を覚える。

左手に目を向けると、一般的な寺院ではまず目にすることのない深沙大将立像(像高256.6cm、重要文化財、平安時代後期)が立っている。名前は「西遊記」の沙悟浄の原型ともされる。額に髑髏を戴き、腰には童子の顔が貼り付き、左手に蛇、右手に三叉を握るその姿は、異形でありながら確固たる力の象徴として場を圧する。

右手には降三世明王立像(像高252.4cm、重要文化財、平安時代後期)。四つの顔と八本の腕を持ち、正面の顔は三眼、降三世印を結ぶ。足元には大自在天とその妃を踏みつけており、その造形のリアルさは思わず息をのむほどだ。さらに不動明王立像(像高161.8cm、重要文化財、平安時代後期)も内陣に祀られており、一堂にこれだけの平安仏像が揃う寺は全国でも稀有な存在といえる。

通年で参加できる瞑想と朝食の体験

明通寺では、「国宝明通寺で瞑想と朝食を」と題した非公開の体験プログラムが通年開催されている。国宝の建物内で瞑想にふける時間は、旅の記憶に残る特別な体験として位置づけられている。また小浜の八ヶ寺を巡る「八印集め」でも参拝対象の一つとなっており、周辺の寺社と組み合わせた半日から1泊2日のモデルコースも案内されている。

アクセス

福井県小浜市門前5-21

営業時間

9:00〜17:00

料金目安

拝観料 500円

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