
竈山神社
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和歌山市に鎮座する竈山神社は、初代神武天皇の長兄・彦五瀬命(ヒコイツセノミコト)を祀る古社だ。大和平定の途上で戦傷を負い、雄水門(ヲノミナト)で薨去された命は、竈山(カマヤマ)に葬られた。その御陵に接して建てられたこの社は、千年以上前に編まれた国の法典「延喜式」の神名帳にも「紀伊国名草郡 竈山神社」として名を留める、由緒深い皇室ゆかりの大社である。
「三社参り」を構成する和歌山の名社
竈山神社は、日前宮(にちぜんぐう)・伊太祁曽神社(いだきそじんじゃ)とともに和歌山の「三社参り」を構成する。三社をめぐることで地域の主要な神々に参拝できるとして、古くから地元の人々に親しまれてきた信仰の形だ。
波乱の歴史と徳川家による再興
天正十三年(1585年)、豊臣秀吉による根来寺征伐の余波を受けて社地・社領を没収され、社殿をはじめ宝物・古文書の一切を失うという大きな試練を経験した。しかし寛文九年(1669年)、和歌山城主・徳川頼宣が社殿を再建。その後、明治十八年(1885年)四月に官幣中社、大正四年(1915年)十一月に官幣大社へと昇格し、国家的崇敬を受ける神社として位置づけを高めた。現在の社殿は昭和十三年(1938年)、国費と崇敬者の献資によって造営・拡張されたものである。
赤ちゃんへの最初の贈り物「命名」
竈山神社が全国的に知られるもっとも大きな特色が、赤ちゃんへの命名(名付け)だ。「神様が名付け親となって一生を守護する」という考えに基づき、古来より神社で名をいただく風習が続いてきた。当社では親御様からの希望(育ってほしい姿、兄姉の名前との調和など)を丁寧に聞き取り、「時代に相応しく、明るく親しまれる、上品なお名前」を提案している。申し込みの際は赤ちゃんと両親の生年月日、兄姉の名、長男・長女などの続柄、希望する名前の方向性といった情報を社務所に伝える。生後七日目の夜に名を決め、命名書をしたためて神棚に供え、神様に奉告する「お七夜」の儀式は、この社の命名の場で今も受け継がれている。
本居宣長も詣でた歌枕の地
国学者・本居宣長は寛政六年(1794年)の冬にこの社を訪れ、「をたけびの かみよのみこゑ おもほへて あらしはげしき かまやまのまつ」と詠んだ。神武東征を支えた彦五瀬命の雄叫びを松風の中に聴き取るような、格調ある一首だ。境内の風情はかつての文人たちをも引き寄せ、歴史の深みを体感できる場所として今もその空気を保っている。
年間を彩る祭事と多彩な祈願
毎月一日には月首祭、八日には雄誥祭(おたけびさい)、十三日には月次祭が行われ、月ごとに参拝の機会が設けられている。年間では一月の歳旦祭(国の隆昌と安泰を祈る)、二月の紀元節祭(建国を祝う)、五月の雄誥祭(命の祥月命日を偲ぶ)、六月の夏越大祓式(茅の輪をくぐり無病息災を祈る)、七月の夏祭り(灯籠が境内を彩る御魂祭)、そして秋の大祭となる十月十三日の例祭と、一年を通じて節目の祭りが続く。命名・安産祈願・お宮詣り・七五三詣り・結婚式のほか、厄除祈願・交通安全祈願(自動車清祓)・地鎮祭など、人生の節目に寄り添う多彩な祈願を受け付けている。
アクセス
和歌山県和歌山市和田438
営業時間
電話受付 9:00~18:00(平日、年中無休)
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