猿岩(さるいわ)は、長崎県壱岐市郷ノ浦町、壱岐島の西端・黒崎半島の先端に屹立する高さ約45mの巨大な海蝕岩です。玄武岩の岩塊が長い年月をかけて波と風に削られた結果、横から見るとまるでそっぽを向いて座る猿の横顔そっくりの形になっており、見る者を驚かせる自然の造形美として、壱岐を代表する観光名所となっています。日本各地に「○○岩」と呼ばれる奇岩は数多くありますが、ここまで写実的に動物の姿を再現したものは珍しく、初めて目にする人は思わず笑みがこぼれるほどの完成度です。
この岩には壱岐独特の神話が伝わっています。日本の国生み神話によれば、伊邪那岐命と伊邪那美命が国を生んだ際、壱岐の島は流されないよう八本の柱で固定されたといいます。猿岩はその柱のひとつで、神々が壱岐島を波に流されないよう繋ぎ止めたものだとされ、地元では古くから神聖な岩として畏敬の対象でした。「壱岐島八柱」と呼ばれるその他の柱も島内の各地に点在しています。
猿岩の周辺は黒崎半島の景勝地として整備されており、近くには「お土産処 黒崎砲台跡」もあります。これは大正時代から昭和初期に旧日本軍が対馬海峡防衛のため築造した東洋一の巨大砲台で、戦艦土佐の主砲を転用した41cm砲が据えられていた地下施設の跡を見学できます。猿岩の自然美と、戦争遺産という人工物の対比が独特の味わいを生み出しています。
また、半島先端からは玄界灘の大海原が一望でき、夕刻には水平線に沈む夕日と猿岩のシルエットが重なる絶景が広がります。サンセットスポットとしても人気で、写真愛好家が多く訪れます。
壱岐島は博多港から高速船で約1時間10分、ジェットフォイルでアクセスできる九州近郊の離島で、古代の壱岐国一宮・天手長男神社、原の辻遺跡(弥生時代の国指定史跡)、月読神社(月読信仰発祥の地)、美しいビーチと豊かな海産物など見どころが多く、近年は「神々の宿る島」として注目を集めています。猿岩はその玄関口にふさわしい、印象深いランドマークです。
アクセス
壱岐・郷ノ浦港から車で約20分、芦辺港から車で約30分
営業時間
見学自由
料金目安
無料