秋の茨城を代表する絶景スポットとして、国営ひたち海浜公園のコキアとコスモスのコラボレーションは全国的な注目を集めている。春のネモフィラの丘とはまた異なる、深みのある秋色の風景がここには広がっている。
ひたち海浜公園とは――広大な自然の楽園
茨城県ひたちなか市、太平洋に面した砂丘地帯に広がる国営ひたち海浜公園は、総面積約350ヘクタールという広大なスケールを誇る国内有数の国営公園だ。もともとこの地は旧日本陸軍水戸飛行場の跡地であり、戦後はアメリカ軍の演習場として使われていた歴史を持つ。その後、1991年に公園として開園し、今では年間を通じて多彩な花々が咲き誇る「花の公園」として広く親しまれている。
春にはネモフィラの青い絨毯が話題を呼び、夏にはひまわり畑が来場者を迎える。そして秋は、コキアとコスモスが織りなす赤とピンクの競演が公園の主役となる。四季折々の表情を見せるこの公園は、一度だけでなく、季節を変えて何度でも訪れたくなる魅力に満ちている。
コキアとは――ほうき草が紅葉する不思議
コキアの紅葉というと、聞き慣れない方も多いかもしれない。コキアはアカザ科の一年草で、別名「ほうき草」とも呼ばれる植物だ。丸くふんわりとした独特のシルエットは、緑の時期から目を引くが、秋が深まるにつれて鮮やかな赤へと変化する姿が最大の見どころである。
ひたち海浜公園のみはらしの丘には、約32,000本ものコキアが植えられている。夏の間は明るい緑色のドーム状の株が丘一面を覆い、涼やかな景色を作り出す。9月下旬から色づき始め、10月上旬から中旬にかけて最も鮮やかな真紅に染まる。その様子はまるで丘全体が燃えているかのようで、訪れる人々を圧倒する。
コキアの赤は日本的な秋の赤とはやや異なり、オレンジがかった鮮やかなトーンを持つ。青空や海の青との対比が生まれたとき、その色彩の鮮烈さはひと際増す。みはらしの丘の名前の通り、丘の頂上からは太平洋を遠望できるため、赤いコキアの向こうに広がる海の青という絶景が望める好天の日は特に感動的だ。
コスモスの丘――ピンクと白が波打つ秋の野原
みはらしの丘に隣接する「コスモスの丘」では、毎年秋に大規模なコスモス畑が咲き誇る。品種は一般的なコスモスのほか、チョコレートコスモス、センセーションなど複数の品種が植えられており、ピンク・白・赤など多彩な花色が風にそよぐ姿は絵画のように美しい。
コスモスの見頃は例年9月下旬から10月下旬にかけて。コキアの紅葉ピーク(10月中旬前後)と重なる時期には、赤いコキアとピンクのコスモスが隣り合う景色が生まれる。これがひたち海浜公園の秋を象徴する「赤とピンクのコラボレーション」だ。暖かなトーンの花と草が隣接して広がる光景は唯一無二であり、毎年多くのカメラマンや旅行者がこの瞬間を目当てに訪れる。
コスモスは風が吹くたびに穏やかに揺れるため、静止した絵的な美しさだけでなく、動きのある写真や動画撮影にも向いている。朝の柔らかな光の中で撮影されたコスモスの群落は、旅の記念写真として格別の一枚になるだろう。
秋のひたち海浜公園――おすすめの楽しみ方
公園内は広大なため、効率よく楽しむにはサイクリングの活用が便利だ。レンタサイクルが用意されており、電動アシスト自転車も借りられるため、体力に自信がない方や家族連れでも安心して広い園内を移動できる。みはらしの丘周辺をメインに、コスモスの丘、砂丘ガーデン、プレジャーガーデンなどを結ぶルートを自分でアレンジするのが公園の醍醐味の一つだ。
また、BBQガーデンでは手ぶらでバーベキューを楽しめるサービスもあり、紅葉を眺めながらの野外ランチは格別だ。秋晴れの日には特に爽快で、澄んだ空気の中で食べる料理は格段においしく感じられる。
混雑については、コキア紅葉のピーク期(10月中旬の土日)は非常に多くの人が訪れる。ゆったりと鑑賞したい場合は、平日訪問か開園直後の早い時間帯がおすすめだ。開園は通常9時30分からで、夕方に向かって人出が増える傾向がある。
アクセスと周辺情報
ひたち海浜公園へのアクセスは、鉄道を利用する場合、JR常磐線「勝田駅」が最寄り駅となる。勝田駅からはバスが運行されており、公園の「西口」または「南口」まで約15分程度でアクセスできる。秋の繁忙期には臨時バスが増便されることが多く、比較的スムーズに移動できる。
マイカーの場合は、北関東自動車道「ひたち海浜公園IC」から約10分とアクセスが良好だ。ただし秋の紅葉シーズン週末は駐車場も混雑するため、早めの到着を心がけたい。
周辺には、那珂湊おさかな市場が近く、新鮮な魚介類を堪能できる食事スポットとして人気が高い。ひたち海浜公園と組み合わせて訪れると、一日を充実して過ごせる。また、大洗磯前神社や大洗水族館なども車で30分圏内にあり、茨城の海沿いエリアをまとめて巡る旅程も十分楽しめる。
訪れる前に知っておきたいこと
入園料は大人450円(2024年時点)とリーズナブルで、広大な自然と多様なアクティビティを考えると非常にコストパフォーマンスが高い。年間パスポートも販売されており、四季を通じて複数回訪れる予定がある方には特にお得だ。
コキアの紅葉状況は年によって前後するため、公園の公式SNSやウェブサイトで最新情報を確認してから訪問するのが確実だ。例年の最盛期は10月中旬だが、気温や天候によって1〜2週間ズレることもある。また、コキアは紅葉後に茶色く枯れていくため、鮮やかな赤のピーク期間は比較的短い。見頃を逃さないよう、早めの情報収集と柔軟な計画が成功の鍵となる。
東京から日帰りで訪れることができる距離にありながら、その圧倒的なスケールと色彩の豊かさは、都市の日常を忘れさせてくれるほどの非日常体験を提供してくれる。秋の旅先として、ひたち海浜公園のコキアとコスモスは、一度は訪れる価値のある場所だ。
アクセス
JR勝田駅からバスで約15分
営業時間
9:30〜17:00
料金目安
入園450円