長岡市の中心部、表町に鎮座する平潟神社は、「長岡の氏神様」として市民に広く親しまれてきた歴史ある神社です。古くは「ちけん様」の愛称でも呼ばれ、年間を通じて多くの参拝者が訪れます。
奈良時代に遡る創建の歴史
平潟神社の創建は、聖武天皇の治世である天平年間(729〜749年)に遡ると伝えられています。天平8年(736年)、当地で疫病が流行した際に行基菩薩が自ら普賢菩薩の像を刻んで奉安し、退散を祈願したという伝承が残っており、創建はそれ以前にまで及ぶと考えられています。
「平潟」という社名は、古来より長岡の主要部をそう呼んでいたことに由来し、「平潟殿」と崇められたことから生まれました。もとは現在の長岡駅付近(旧長岡城跡)に鎮座しており、上杉謙信・景勝もその地を深く崇敬したと伝わります。
元和2年(1616年)に堀直寄が長岡城を築城する際、門前地として仮宮を建てたのを機に現在地への移転が始まり、元和4年(1618年)に長岡藩主となった牧野氏が当社を祈願所と定めました。社領40石を寄進し、慶安2年(1649年)に現在地へ社殿が造営されると、以降は長岡藩の保護のもと氏神として発展を続けました。
戦火と復興、地震被害を乗り越えて
平潟神社は、その長い歴史の中で幾度もの試練を経験してきました。1728年・1756年・1844年と度重なる火災による類焼、さらに明治27年(1894年)にも社殿が焼失しましたが、そのたびに氏子たちの手によって再建されてきました。
最も大きな打撃となったのは、昭和20年(1945年)8月1日夜の長岡空襲です。米軍機による爆撃で市街地の8割が焼失し、平潟神社の境内で亡くなった方の数は長岡市内で最も多く、297人にのぼりました。社殿もこのとき全焼しましたが、戦後に宮司・桃田忠雄氏(18代)の尽力と氏子崇敬者の奉仕によって社殿が復興され、昭和54年に現在の鉄筋コンクリート造の社殿が完成しました。
また、平成16年(2004年)10月の中越地震では鳥居をはじめ多くの建造物が倒壊・損壊しましたが、19代宮司・桃田勇夫氏が復興に尽力し、平成18年(2006年)4月には青銅製の新しい鳥居が建立されました。社務所や参集殿、燈篭・手水舎なども整備され、現在の整然とした境内の景観が整えられています。
御祭神と御神徳
主祭神として健御名方富命(タケミナカタトミノミコト)を祀り、配祀として八坂刀売神(ヤサカトメノカミ)・大国主命(オオクニヌシノミコト)・沼河比売命(ヌナカワヒメノミコト)を合わせてお祀りしています。
健御名方富命は「武勇の神・開拓の神」であり、水の守護神として「生きとし生けるものの命の親神様」とも称される神様です。農耕・林業・治水・商工業・土木建築・交通運輸・学業・スポーツなど幅広い分野にご利益があるとされています。
境内には末社として稲荷様・淡島様・天満宮・金刀比羅様なども祀られており、さまざまなご縁を求める参拝者を温かく迎えています。
賑わいを見せる年間行事と祭典
平潟神社では、年間を通じてさまざまな行事が催されます。年末年始の「二年詣り」は特に多くの参拝者を集め、1月10日まで社頭でのご参拝が行われるほか、1月2日から3月末日まで新春招福祈願祭が斎行されます。
春季大祭は4月25日・26日に行われ、献茶式(宗徧流、隔年)や大祭式に加え、御神輿渡御も執り行われます。境内や参道には露店も出店し、春の訪れを祝う賑やかな雰囲気に包まれます。
夏の例大祭は7月25日・26日で、謡曲奉納(観世流・金春流)や神楽奉奏が行われ、こちらも露店が並びます。また7月25日から8月第一土曜日にかけては「風鈴まつり」が開催され、夏の風物詩として親しまれています。
6月30日から7月3日には大祓え・茅の輪神事が行われ、半年間の穢れを祓う伝統行事が続いています。秋から初冬にかけては七五三祭が行われ、お子さまの健やかな成長を願う家族連れが多く参拝に訪れます。
毎年8月1日の朝6時には、戦災殉難者慰霊祭が隣接する平潟公園の慰霊塔にて斎行されます。市長をはじめ市の公人・遺族・市民など約100人が参列し、長岡空襲の犠牲者を追悼する厳かな式典は、地域の平和への誓いを新たにする場となっています。
ご祈祷と境内の見どころ
ご祈祷は毎日受け付けており、受付時間は午前10時から午後3時30分までです(平日は月に数日、神職の休日があるため、事前に電話での確認・予約を推奨)。安全祈願・厄除け・家内安全・病気平癒・交通安全のほか、初宮詣・七五三・成人式・結婚式・還暦祝いなど人生の節目ごとの祈願も承っています。
境内には春になると桜が満開になり、末社前には戦前から生き続ける白藤の棚があります。長い年月を経てなお逞しく咲き誇る白藤は、神社の歴史と生命力を象徴する存在として参拝者の目を楽しませています。北の神門(唐破風屋根)や青銅製の鳥居、手水舎など、整備された境内は四季を通じて美しく、参拝の折々に境内散策もお楽しみいただけます。
御神札・御守・御朱印は年間を通じて社務所にて頒布しており、受付時間は午前10時から午後4時です。長岡を訪れた際には、1,300年近い歴史と市民の信仰が息づくこの地に、ぜひ足を運んでみてください。
アクセス
長岡駅から徒歩圏内
営業時間
社務所 10:00~16:00、御祈祷受付 10:00~15:30(平日は月に2~5日休み、土日祝は営業)
料金目安