下呂温泉の湯けむりたなびく温泉街に、愛らしいさるぼぼのお守りで知られる小さな神社がひっそりと佇んでいます。「さるぼぼ七福神社」は、飛騨地方に古くから伝わる民俗工芸品と七福神信仰が結びついた、訪れる人々に笑顔と福をもたらすユニークなスポットです。
さるぼぼと飛騨の民俗信仰
「さるぼぼ」とは、飛騨地方に古くから伝わる伝統的な人形で、布を縫い合わせて作った赤い胴体に手足がついた素朴な姿が特徴です。その最大の特徴は「顔がない」こと。顔がないからこそ、見る人それぞれの心が映し出され、いつも笑顔に見えると言い伝えられています。
名前の由来は「猿の赤ちゃん(猿坊坊)」から来ており、飛騨弁では赤ちゃんのことを「ぼぼ」と呼びます。猿は古来より魔除けや縁起物として重宝されており、「さる=去る」という語呂合わせから「悪いことが去る」「縁が去らない(離れない)」とされ、家内安全・縁結び・安産などのご利益があると広く信じられてきました。かつては飛騨の母親たちが、我が子の健やかな成長を願い、手縫いで作って贈る風習がありました。
さるぼぼ七福神社では、この愛らしいさるぼぼが七福神それぞれの姿に扮しています。大黒天・恵比寿天・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋尊という七柱の神々がさるぼぼの姿で祀られており、それぞれ異なる色のさるぼぼが並ぶ様子はなんとも愛嬌があり、参拝者の心をほっこりと温めてくれます。
下呂温泉街の中の癒やしスポット
さるぼぼ七福神社は、岐阜県下呂市湯之島に位置し、下呂駅から徒歩圏内の温泉街エリアにあります。下呂温泉は、有馬温泉(兵庫)・草津温泉(群馬)と並んで「日本三名泉」の一つに数えられる名湯で、その名は江戸時代の儒学者・林羅山が著した書物にも記されています。温泉街の旅館やホテルが立ち並ぶ賑わいのなか、このさるぼぼ七福神社はしっとりとした落ち着きをたたえており、温泉入浴の合間に気軽に立ち寄れる参拝スポットとして地元の人にも観光客にも親しまれています。
境内は決して広くはありませんが、鮮やかな色彩のさるぼぼ七福神が一体ずつ丁寧に祀られており、それぞれのご利益を示す案内と合わせて参拝することができます。七福神すべてを巡ってお参りすれば、縁結び・金運・健康・学業・商売繁盛など、人生のあらゆる場面で幸運を授かれると言われており、訪れた人々がそれぞれの願いを込めて手を合わせていきます。
季節ごとの楽しみ方
**春(3月〜5月)** 下呂の春は、飛騨川沿いに桜が咲き誇るシーズンです。川沿いの遊歩道には桜並木が続き、温泉の湯けむりと花びらが重なる景色は格別です。さるぼぼ七福神社への参拝を起点に、湯之島周辺を散策しながら春の訪れを感じるのがおすすめの過ごし方です。
**夏(6月〜8月)** 夏の下呂温泉では「下呂温泉祭」をはじめ、花火大会や盆踊りなどの夏まつりが開催されます。夜は温泉街の灯籠や提灯に照らされた幻想的な雰囲気のなか、七福神社への夜参りも趣があります。露天風呂から夏の星空を眺め、翌朝さわやかな気持ちで参拝する、という旅のリズムも心地よいものです。
**秋(9月〜11月)** 紅葉の季節は下呂温泉が最も美しく輝く時期のひとつ。飛騨川流域や周辺山地が赤や黄金色に染まり、温泉街に足を踏み入れるだけで秋の彩りに包まれます。さるぼぼ七福神社の境内も、周囲の木々の紅葉を背景に一段と風情が増します。
**冬(12月〜2月)** 雪に覆われた下呂温泉は、静寂の中に凛とした美しさがあります。雪景色の温泉街を歩きながら七福神社に参拝し、新年の開運祈願をする冬の旅は、特別な思い出となるでしょう。年末年始は多くの参拝者が訪れ、賑やかな雰囲気のなかで新年の祈りを捧げることができます。
周辺のみどころとあわせて楽しむ
さるぼぼ七福神社を訪れたら、下呂温泉周辺のスポットも合わせて楽しみましょう。温泉街の中心部には「下呂温泉合掌村」があり、飛騨地方の伝統的な合掌造り民家を移築・保存した野外博物館として、飛騨の生活文化や伝統工芸を体験できます。また、川沿いには足湯スポットも複数あり、旅の疲れを癒やしながら温泉街の景色を楽しむことができます。
下呂市内には他にも「御前岩」や「巌立峡(がんだてきょう)」といった自然景観の見どころもあります。巌立峡は約5万4000年前の火山活動によって形成された柱状節理の岩壁が圧巻で、国の天然記念物にも指定されています。
お土産には、もちろんさるぼぼのお守りや人形が定番。赤色の縁結び・恋愛運、黄色の金運、青色の仕事・学業など、色によってご利益が異なるので、自分や大切な人へのプレゼントに選ぶのも楽しみの一つです。
アクセス情報
さるぼぼ七福神社へは、JR高山本線「下呂駅」から徒歩約10〜15分で温泉街エリアに入ることができます。駅を出てすぐに湯之島方面へ向かい、飛騨川沿いの道を歩けば温泉街の風情を楽しみながら到着できます。周辺には宿泊施設も多く、旅館に宿泊して朝の散歩がてら参拝するのもおすすめです。
名古屋方面からは特急「ワイドビューひだ」を利用すると約1時間30分〜2時間でアクセスでき、東海北陸自動車道を利用したドライブでの訪問も人気です。下呂温泉の旅にさるぼぼ七福神社への参拝をぜひ組み込んで、七つの幸運をまとめて授かる特別な旅をお楽しみください。
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