静岡市の中心部に広がる駿府城公園は、戦国時代から江戸時代にかけて日本を統治した徳川家康と深いゆかりを持つ歴史公園です。都市の喧騒の中にありながら、緑豊かな空間と復元された歴史的建造物が訪れる人々を出迎える、静岡を代表する観光スポットのひとつです。
天下人・徳川家康が愛した城下町の中心
駿府城は、徳川家康が幼少期に今川氏の人質として過ごした地・駿府に築いた城です。家康は天下統一を果たした後も駿府を重要視し、1607年には大御所(将軍を退いた後も実権を持つ存在)として駿府城に移り住みました。以後、家康が1616年に没するまでの約10年間、ここ駿府が事実上の政治の中心地となりました。
江戸城をしのぐとも言われた規模を誇った駿府城は、幕末の騒乱や明治以降の廃城令によって建物の多くが失われてしまいましたが、現在では城跡が公園として整備され、復元された櫓や門が往時の姿を今に伝えています。また、日本城郭協会が選定する「続日本100名城」にも選ばれており、全国各地から城郭ファンが訪れる名所となっています。
復元された歴史的建造物を巡る
現在の駿府城公園の見どころの中心となるのが、復元整備された3つの歴史的建造物です。
**東御門・巽櫓**は、公園の東側に位置する城の正面玄関とも言うべき建造物で、1989年に復元されました。東御門は城内への入口となる枡形を形成し、隣接する巽櫓(たつみやぐら)は城の東南方向を守る多聞櫓です。内部は歴史資料館として公開されており、駿府城や徳川家康に関する展示を見学することができます。夜間には特別なライトアップが実施されることもあり、昼間とはまた異なる幻想的な雰囲気を楽しめます。
**坤櫓(ひつじさるやぐら)**は、公園の西南隅に位置する三重の隅櫓で、2014年に復元されました。家康の大御所時代を支えた駿府城天守の遺構調査なども進められており、坤櫓の内部では復元に関わる調査・発掘の成果を紹介する展示も行われています。また、静岡まつりなど地域のイベント開催時には開館時間が変更になることもあるため、訪問前に公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
公園内には、これら2つの施設に加え、茶室を持つ**紅葉山庭園**(もみじやまていえん)も点在しており、三施設をまとめて楽しめる共通券「駿府城御縁手形」も販売されています。さらに近年では葵船なども加わり、複数施設をお得に巡れる6施設共通券も登場しています。
四季を通じて楽しめる自然豊かな公園
駿府城公園の魅力は歴史的建造物だけにとどまりません。公園内には四季折々の自然が広がり、地元市民の憩いの場としても親しまれています。
春には公園内のサクラが一斉に咲き誇り、花見の名所として多くの人で賑わいます。初夏には緑が濃くなり、お堀の水面に反射する木々の緑が美しいコントラストを生み出します。秋になれば紅葉山庭園の名のとおり、もみじをはじめとした木々が赤や黄色に色づき、庭園全体が錦秋の装いに包まれます。冬の晴れた日には、公園越しに富士山を望める絶景スポットもあり、一年を通じて異なる表情を見せてくれる公園です。
また、公園内には広い芝生エリアが広がり、週末には家族連れや散策を楽しむ市民の姿が見られます。静岡市の中心市街地にありながら、まとまった緑地空間が確保されていることは、都市公園として大きな魅力のひとつと言えるでしょう。
茶の湯と文化を体験する紅葉山庭園
公園内に整備された**紅葉山庭園**は、江戸時代の大名庭園の様式を現代に再現した日本庭園です。回遊式の庭園内には数寄屋造りの茶室が設けられており、本格的な抹茶と和菓子を楽しむことができます。
2024年からは茶室の調理場での料理提供も可能となり、一般の方だけでなく事業者も利用できる施設として活用の幅が広がっています。また、2025年からはオンライン予約・決済システムも導入され、茶室の予約がより手軽に行えるようになりました。静岡は日本屈指のお茶の産地として知られており、本場の茶文化を体験できる紅葉山庭園は、観光客にとってはもちろん、地元の方にとっても特別な時間を過ごせる場所として人気を集めています。
イベントと地域文化の発信地として
駿府城公園は、年間を通じてさまざまなイベントが開催される地域文化の発信地でもあります。毎年春に行われる**静岡まつり**は、徳川家康の駿府入城を祝う祭りとして定着しており、祭り期間中は公園周辺が多くの人で賑わいます。坤櫓では火縄銃演武なども実施され、戦国・江戸時代の雰囲気を体感できるイベントとして好評を得ています。
また、公園では定期的に**フォトコンテスト**が開催されており、季節ごとの美しい風景を切り取った作品が集まります。受賞作品は静岡市役所などで展示され、公園の魅力を広く発信する取り組みとなっています。着物でのファッションショーや各種ライトアップイベントなど、歴史と現代文化を融合させたイベントが随時企画されており、訪れるたびに新しい発見があるのも駿府城公園の魅力です。
アクセスと観覧のご案内
駿府城公園へのアクセスは非常に便利です。JR東海道本線・東海道新幹線の**静岡駅**から北口へ出て徒歩約10〜15分ほどで到着します。静岡市の中心部に位置するため、静岡駅周辺の商業施設や飲食店と組み合わせた観光プランも立てやすい立地です。
公園自体は無料で入場できますが、東御門・巽櫓、坤櫓、紅葉山庭園などの施設は別途入館料が必要です。複数の施設を効率よく巡りたい方には、共通券「駿府城御縁手形」の利用がおすすめです。なお、各施設の開館時間や休館日、料金については変更になる場合があるため、訪問前に公式サイト(sumpu-castlepark.com)または電話(054-221-1121)で最新情報をご確認ください。
歴史の重みと自然の美しさ、そして豊かな文化体験が一堂に会する駿府城公園は、静岡観光の出発点として、また何度でも訪れたくなる場所として、多くの人々に愛され続けています。
アクセス
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