秋になると東京の街が一変する場所がある。青山通りから聖徳記念絵画館へと続く外苑いちょう並木は、都心にいながら黄金色に染まった自然のトンネルをくぐれる、東京を代表する紅葉スポットだ。季節を問わず地元の人々に愛され、観光客にも強く印象を残すこの並木道の魅力を紹介する。
明治神宮外苑の歴史と成り立ち
明治神宮外苑は、明治天皇と昭憲皇太后の業績を永く後世に伝えるために整備された施設で、大正15年(1926年)に正式に創建された。内苑(明治神宮本体)が宗教的な空間であるのに対し、外苑はスポーツ・文化・自然が一体となった公共空間として設計されており、創建当初から広く市民に親しまれてきた歴史を持つ。
所在地は東京都新宿区霞ヶ丘町で、渋谷・青山エリアからほど近い都心の一角に位置する。広大な敷地内には、神宮球場や秩父宮ラグビー場といったスポーツ施設のほか、絵画館、テニスコート、軟式野球場など多彩な施設が集まっており、老若男女が思い思いの目的で訪れる場所となっている。街の喧騒に隣接しながらも、一歩足を踏み入れると豊かな緑と広がりのある空間が広がり、都市の中の別世界のような雰囲気を醸し出す。
いちょう並木の構造と設計の妙
外苑いちょう並木の最大の特徴は、その巧みに計算された景観設計にある。青山通り側から聖徳記念絵画館に向かって約300メートルにわたって続く直線の並木道には、4列に植えられたイチョウが立ち並ぶ。手前側ほど樹高が低く、絵画館に近づくにつれて木が高くなるという遠近法を意識した植え方がされており、奥に進むほど天井が高くなるような開放感と、建物が浮き上がって見えるような奥行き感が演出されている。
並木を構成するイチョウは約146本。秋の黄葉シーズンには、頭上を覆うように広がる黄金色の葉と、地面に積もった落ち葉のじゅうたんが相まって、都心とは思えない幻想的な空間が生まれる。正面に鎮座する石造りの聖徳記念絵画館との組み合わせは、まさに東京の秋を象徴する風景として多くの人の記憶に刻まれている。
聖徳記念絵画館と外苑の見どころ
並木の突き当たりに位置する聖徳記念絵画館は、明治天皇の生涯にまつわる出来事を描いた80枚の絵画(洋画40点・日本画40点)を収蔵する歴史的建造物だ。花崗岩と大理石を用いた重厚な外観は大正時代の建築様式を今に伝えており、外苑全体のシンボルとして並木とともに訪れる人の目を引きつける。館内では年代順に並べられた絵画を通じて、明治という激動の時代を視覚的に体感することができる。
外苑内にはほかにも見どころが多い。神宮球場は1926年の開場以来、日本プロ野球の舞台として長く親しまれており、試合開催日には並木周辺も多くのファンで賑わい、スポーツと季節の風景が交差する独特の雰囲気が生まれる。広い芝生広場では家族連れがのびのびと過ごす姿が見られ、都市型の公園としても高い人気を誇っている。
季節ごとの楽しみ方
外苑いちょう並木といえば秋の黄葉が圧倒的な人気を誇るが、実は一年を通じてさまざまな表情を見せる場所でもある。
春から夏にかけては、青々とした葉が茂るイチョウのトンネルが夏の強い日差しを遮る天然の日よけとなり、散歩やジョギングコースとして地元の人々に愛用されている。緑のアーチの下を歩くだけで、日常の疲れがすっと和らぐような清涼感がある。
秋の黄葉シーズンは例年11月中旬から12月上旬が見頃で、最盛期には連日多くの来場者が訪れる。この時期に開催される「外苑いちょう祭り」では並木沿いに露店が並び、黄金色の風景を楽しみながら食べ歩きができる賑やかなイベントとなっている。混雑を避けたい場合は、朝早い時間帯を狙うと静かに紅葉を堪能できる。冬になり葉が落ちた後の並木道は、すっきりとした直線美を見せる。空気が澄んだ冬晴れの日には、裸のイチョウと青空のコントラストが清々しく、また違った魅力を放つ。
アクセスと周辺エリア情報
外苑いちょう並木へのアクセスは複数の方法がある。電車を利用する場合、東京メトロ銀座線「外苑前駅」から徒歩約3分が最も近い。東京メトロ銀座線・半蔵門線「青山一丁目駅」の1番出口からも徒歩約5分ほどで並木の入口に到着する。原宿方面からはJR原宿駅や東京メトロ明治神宮前駅を利用し、徒歩約15分ほどで向かうことも可能だ。
周辺エリアには食事やショッピングを楽しめるスポットが充実している。青山通り沿いにはカフェやレストランが並び、並木散策の前後に立ち寄りやすい環境が整っている。少し足を伸ばせば表参道ヒルズや神宮前のショップ街にもアクセスでき、観光と買い物・グルメを組み合わせた一日コースを組みやすい立地だ。明治神宮外苑への問い合わせは電話03-3401-0312(代表)まで。四季折々に異なる表情を見せるこの並木道は、東京観光の定番でありながら、何度訪れても新しい発見がある奥深い場所として、これからも多くの人に愛され続けるだろう。
アクセス
銀座線赤坂見附駅から徒歩8分、丸ノ内線赤坂見附駅から徒歩8分、JR信濃町駅から徒歩5分
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