
星出館
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三重県伊勢市河崎。勢田川沿いに蔵や商家が立ち並ぶ歴史ある問屋街の路地に、昭和元年から約100年の歴史を刻み続ける小さな宿「星出館」がある。大正から昭和にかけて建てられた純和風の木造建築は、今も現役の宿として静かにその扉を開けている。
昭和元年創業、河崎に唯一残る町宿の歴史
星出館の創業は1926年(昭和元年)。以来、約100年にわたって伊勢市河崎の地で営まれてきた、まさに生きた歴史を持つ宿だ。河崎はかつて「伊勢の台所」と称され、全国各地から物資が集まる問屋街として栄えた。勢田川沿いに建ち並ぶ蔵や商家が往時の繁栄を物語るこの街並みのなかで、星出館は今日もその面影を守り続けている。
現在も営業を続ける宿として、河崎に残る唯一の町宿がこの星出館だ。オーナー夫婦とパートスタッフという小さな体制で切り盛りするアットホームな宿であり、チェックインからチェックアウトまで、宿主の目が行き届いたきめ細かいもてなしを受けることができる。大型旅館やビジネスホテルでは味わえない、人と人との距離が近い滞在が星出館の大きな魅力のひとつだ。
大正・昭和レトロな純和風建築の空間
星出館の建物は大正から昭和初期にかけて建てられた純和風の木造建築であり、その佇まいはどこか懐かしさを呼び起こす。柱や梁、廊下の板張りなど、古い造りをできる限り活かしながら維持・管理されており、泊まること自体が一種の文化体験となっている。
現代的な施設やインテリアに慣れた旅行者にとっては、ここで過ごす時間がひときわ新鮮に映るだろう。夜、廊下を歩くたびにきしむ音、朝、障子越しに差し込む柔らかな光。こうした細部に宿る「昭和の感触」こそが、星出館を訪れるリピーターが口々に語る特別な体験だ。お一人様からの宿泊にも対応しており、一人旅でも気兼ねなく利用できる懐の深さがある。
B&Bスタイルと食事へのこだわり
星出館は2014年度よりB&B(Bed & Breakfast)スタイルに移行した。素泊まりを基本としつつ、希望者には完全予約制で食事を提供するスタイルを採用している。食事の内容として特筆すべきは「穀菜食料理」だ。穀物や野菜を中心とした食事は、伊勢参りという神聖な旅の前後に心と体を整えたい旅行者にとっても、日常の食生活を見直したい方にとっても、静かに響くものがある。
また、食事制限のある方への対応についても相談に応じているとのことで、アレルギーや宗教上の食の制約がある旅行者にとっても安心感がある。予約時に事前相談することで、個々の状況に応じた対応を検討してもらえる。食の多様化が進む現代において、こうした柔軟な姿勢は小さな宿ならではの強みといえるだろう。
河崎のまち歩きと周辺観光
星出館が位置する河崎地区は、それ自体が観光スポットとして見どころの多いエリアだ。勢田川沿いに残る蔵づくりの建物は江戸・明治期の商家文化を今に伝えており、ギャラリーやカフェ、雑貨店として活用された蔵が点在している。散策しながら昔の問屋街の面影を感じられる「河崎まちなみ」は、伊勢観光の穴場として近年注目を集めている。
伊勢といえばやはり伊勢神宮。星出館から伊勢神宮外宮(豊受大神宮)まで徒歩約17分と、宿から歩いてお参りできる距離にある。早朝の凛とした空気の中、静寂に包まれた参道を歩いてから宿に戻り、朝食をいただくという過ごし方は、ここならではの特別な体験だ。内宮(皇大神宮)へはバスやタクシーを利用してアクセスできる。おかげ横丁や伊勢おはらい町では、赤福や伊勢うどんをはじめとした地元グルメや土産店が立ち並び、観光の楽しさをさらに広げてくれる。
アクセスと利用シーン
星出館へのアクセスは、近鉄・JR伊勢市駅北口より徒歩約7分。鉄道を利用した旅行者にとっては非常に利便性の高いロケーションだ。駅から歩いてすぐに到着できるため、大きな荷物を持っての移動も苦にならない。
伊勢神宮参拝を目的とした旅行はもちろん、河崎の歴史的まちなみを歩くまち歩き旅、あるいは三重・志摩方面への観光拠点としての宿泊にも適している。一人旅でも宿泊可能なため、ひとりで伊勢を深く旅したい旅行者にも向いている。また、昭和レトロな建築や懐かしい日本の宿の雰囲気を体験したいという目的で訪れるリピーターも多い。派手なアメニティや豪華な設備ではなく、静かな時間と古い建築の持つ空気感、そして宿主との穏やかな対話を求める旅人に、星出館はきっと応えてくれる宿だ。
アクセス
近鉄伊勢市駅北口より徒歩7分
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