函館の街並みに溶け込むように立つ五島軒本店は、明治の香りを今も色濃く残す北海道最古級の老舗レストランです。函館に訪れた旅人たちが一度は立ち寄る、歴史と味の両方を堪能できる特別な場所として、地元市民にも観光客にも長く愛され続けています。
明治12年創業――函館が育てた老舗の歴史
五島軒が産声を上げたのは1879年(明治12年)のこと。北海道の玄関口として栄えた函館は、当時から外国との交流が活発で、西洋文化や食文化がいち早く根付いた土地でした。開港都市ならではの国際的な雰囲気の中で、五島軒は西洋料理を提供するレストランとして歩みを始めます。
時代が明治から大正、昭和、そして平成・令和へと変わる中でも、五島軒は函館の食文化の象徴として存在感を保ち続けてきました。150年近い歳月は、単なる「古さ」ではなく、何世代にもわたって受け継がれてきた「信頼」の証でもあります。函館の歴史を語るうえで欠かせないこのレストランは、単に食事をする場所を超えた、街の記憶そのものと言えるでしょう。
全国に名を馳せる「五島軒のカレー」
五島軒の名を全国区にしたのは、なんといっても伝統の「カレー」です。明治時代に西洋料理として日本に伝わったカレーを、五島軒は独自のレシピで昇華させ、長年にわたって磨き続けてきました。その味は創業当初のスピリットを守りながらも、現代の食感覚に合わせて丁寧に調整されており、「懐かしさ」と「新しさ」が絶妙に共存しています。
スパイスの奥行きとまろやかなコクが特徴のルーは、辛さの中に深みと甘みが感じられる複雑な味わい。じっくりと煮込まれた具材との相性も抜群で、ひと口食べれば「これが五島軒のカレーだ」と確信できる個性があります。通信販売でも購入できる缶詰タイプの五島軒カレーは全国的に人気を誇り、函館土産の定番品としても確固たる地位を築いています。レストランで食べる出来立てのカレーと、自宅でも再現できる缶詰カレー――どちらもファンを魅了してやみません。
洗練されたケーキ・スイーツの世界
五島軒はカレーと並んで、ケーキをはじめとするスイーツの評判も高く、「カレー&ケーキ」というキャッチフレーズがそのままブランドの代名詞となっています。函館の港町文化が育んだ西洋菓子の伝統は、五島軒の厨房でも脈々と受け継がれており、食後のデザートとして提供されるケーキは、メインに劣らない主役級の存在です。
生クリームをたっぷり使った口当たりの軽いショートケーキや、どっしりとした風格のチョコレートケーキなど、ラインナップは季節や時期によって変わることもありますが、いずれも素材の良さを活かした丁寧な仕上がりが特徴です。函館の観光を楽しんだ後、ゆったりとした時間の中でケーキとコーヒーを味わう――そんなひとときが五島軒本店では自然と実現します。
末広町に佇む本店の空間と雰囲気
五島軒本店が構えるのは、函館の歴史的建造物が集まる末広町のエリアです。西洋と和の文化が混ざり合うこの一帯は、明治・大正期の建築物が現役で使われる函館らしさが凝縮された場所。五島軒の建物もその景観に溶け込むように設計されており、外観からすでに歴史の厚みが伝わってきます。
店内は落ち着いた雰囲気の中に格式のある設えが施されており、テーブルクロスが敷かれたダイニングスペースは、日常の食事の場というよりも、特別なひとときを演出する舞台のようです。ランチからディナーまで対応しており、ファミリーでの食事はもちろん、大切な人とのゆっくりとした食事にも適しています。観光途中の気軽な立ち寄りから、旅の締めくくりに相応しい特別なディナーまで、幅広いシーンで活躍してくれるのが五島軒本店の強みです。
函館観光と組み合わせて楽しむアクセス
五島軒本店の最寄りは函館市電の「末広町」電停で、徒歩数分という好立地です。函館の人気観光スポットである赤レンガ倉庫群や金森洋物館、函館西波止場などとも近く、観光のついでに立ち寄りやすい位置にあります。函館朝市や函館山のロープウェイ乗り場へのアクセスも良好で、観光ルートに組み込みやすいのも魅力のひとつです。
函館駅からも徒歩圏内なので、JRや新幹線を使って函館入りした旅行者にも気軽に利用できます。昼食時は観光客で賑わうこともあるため、混雑を避けたい場合は開店直後や閉店前後の時間帯を狙うのが賢明です。電話番号(0138-23-1106)での事前確認や予約も可能ですので、確実に席を確保したい場合は活用するとよいでしょう。公式サイト(gotoken1879.jp)では最新のメニュー情報や営業時間も確認できます。
明治の開拓時代から変わらぬ姿勢で函館の食文化を支えてきた五島軒本店。一皿に込められた歴史の重さを感じながら、伝統のカレーとケーキに舌鼓を打つ体験は、函館観光の中でもとりわけ記憶に残るものになるはずです。
アクセス
函館駅から徒歩約3分(函館市末広町4-5)
営業時間
11:30〜20:00、定休日: 火曜(一部期間除く)
料金目安
予約料 ¥363/人(税サ込)、個室使用料 ¥12,100(税抜)