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多治見モザイクタイルミュージアム

多治見モザイクタイルミュージアム

Photo: Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
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岐阜県多治見市笠原町。この小さな町に、一度訪れたら忘れられない、不思議で美しい博物館がある。藤森照信が設計した「多治見モザイクタイルミュージアム」は、日本一のモザイクタイル産地が誇る文化と技術の結晶だ。建物の外観から展示内容まで、すべてがタイルへの深い愛情に満ちている。

笠原町とモザイクタイルの歴史

多治見市笠原町は、日本のモザイクタイル生産の中心地として知られる。モザイクタイルとは、主に50mm角以下の小さなタイルを組み合わせて文様や絵を表現するもので、20世紀初頭から昭和にかけて日本の住宅や銭湯、公共施設の装飾を彩ってきた。

笠原地区でタイル生産が盛んになった背景には、陶磁器の産地として知られる美濃の土地柄がある。焼き物の技術と窯業の基盤があったこの土地で、明治後期から大正・昭和にかけてタイル製造が根付き、最盛期には国内のモザイクタイルの大半がここで作られた。高度経済成長期には、全国各地の浴室や台所、銭湯の床や壁がこの町のタイルで装われた。日常生活の中に溶け込んでいたあのつやめく小さな欠片たちが、笠原の職人たちの手から生まれていたのだ。

しかし、住宅様式の変化やプラスチック素材の普及により、モザイクタイルの需要は徐々に縮小していった。そうした状況の中で、産地の歴史と文化を次世代に伝えるために2016年に開館したのが、多治見モザイクタイルミュージアムである。

藤森照信が生み出した"土の山"の建築

ミュージアムに近づくと、まず誰もが足を止める。美術館らしからぬ、丸みを帯びた茶色の外観。まるで大地から生えてきたかのような、起伏のある土の山のような建物が目の前に現れるのだ。

設計を手がけたのは、建築史家であり建築家でもある藤森照信。「草屋根」や「タンポポハウス」など、自然素材を大胆に取り込んだ作品で知られる藤森は、このミュージアムのためにタイルそのものを外壁の素材として用いた。建物の外壁全体が無数のタイルの破片で覆われており、土のようなテクスチャーと色合いの中に、タイルの欠片がきらきらと埋め込まれている。

建築自体がすでにタイルのアート作品であり、訪れる人は館内に入る前から、この場所の世界観に引き込まれていく。光の当たり具合によって表情を変える外壁は、朝と夕方では異なる顔を見せる。時間を変えて訪れる価値があるほど、建物そのものが見どころのひとつだ。

昭和の記憶が蘇る展示の世界

館内に入ると、そこには昭和の生活文化を映すタイルの世界が広がっている。1階から最上階へと続く展示スペースには、かつて実際に使われていたタイル張りの浴槽、かまど、洗面台などが並ぶ。タイルが日常生活のあらゆる場面に使われていた時代の面影を、これほど具体的に感じられる場所は他にない。

昭和レトロな色合いのタイル——水色、白、淡いピンク——で覆われた浴室の再現は、懐かしさと温かみに満ちている。かつて銭湯や一般家庭で使われていたタイルの現物が、修復された状態で展示されており、モザイクタイルが単なる建材ではなく、生活の美を支えるデザインの一部であったことを実感できる。

そして、館内のハイライトともいえるのが最上階の展示空間だ。天井から床まで無数のタイルが連なる「タイルのカーテン」が、光を受けて幻想的な輝きを放つ。半透明のタイルを通して差し込む自然光が、空間全体をやわらかく照らし出す様子は、まさに息をのむ美しさ。写真では伝えきれない、その場に立って初めて感じられる体験だ。

タイル貼り体験で職人の技に触れる

ミュージアムの人気プログラムのひとつが、タイル貼りの体験工房だ。実際にタイルを選び、モルタルを使って小さな作品を作ることができる。カラフルなモザイクタイルの欠片を手に取り、自分だけのデザインを形にする作業は、子どもから大人まで夢中になれる。

体験を通じて、タイルの重さや質感、接着の難しさなど、普段は気づかない素材の個性を身体で知ることができる。作り上げた作品は持ち帰ることができるため、旅の思い出として長く手元に残る。事前予約が望ましいが、当日参加できる場合もあるため、訪問前に公式サイトで確認しておくと安心だ。

アクセスと周辺情報

多治見モザイクタイルミュージアムへは、名古屋からJR中央線で多治見駅まで約30分。多治見駅からは市内巡回バス「どんぐりバス」笠原線に乗り、「モザイクタイルミュージアム」バス停で下車すると徒歩すぐ。車の場合は中央自動車道・多治見インターチェンジから約15分ほどのアクセスだ。駐車場も完備されているため、車での訪問も便利。

周辺には笠原地区の陶磁器メーカーや直売所も点在しており、タイルや焼き物に興味がある人はあわせて立ち寄りたい。多治見市内には、「ながせ商店街」の昭和レトロな街並みや、国の重要文化財に指定された「永保寺」なども見どころとして名高い。多治見は夏に全国トップクラスの猛暑日で知られるが、ミュージアムは空調が整っているため、暑い時期の観光にも適している。

タイルという素材を通して、日本の近代生活史や職人の技、そして建築の美しさを同時に体験できる多治見モザイクタイルミュージアム。訪れた後には、街中のタイルがこれまでとは違って見えてくるはずだ。

アクセス

JR多治見駅からバスで約17分

営業時間

9:00〜17:00(月曜定休)

料金目安

310円

編集部最終確認: 2026-04-25 (AI抽出)

施設の特徴

子連れ可

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