瀞峡(どろきょう)は、和歌山県・三重県・奈良県の三県境を流れる北山川(熊野川水系)が、長い年月をかけて石英斑岩の岩盤を侵食して形成した大渓谷です。総延長約31kmにおよび、上流から「奥瀞」「上瀞」「下瀞(瀞八丁)」の三区間に分けられ、特に下瀞の「瀞八丁」と呼ばれる区間は国の特別名勝及び天然記念物に指定された、紀伊半島を代表する景勝地です。
最大の魅力は、深く澄んだエメラルドグリーンの川面と、両岸に屹立する高さ50m以上の白い断崖絶壁が織りなすコントラスト。柱状節理や奇岩怪石が連続し、岩肌に緑のシダや松が彩りを添えます。古くから「日本三大渓谷美」のひとつに数えられ、明治の文豪・与謝野鉄幹もその景観を絶賛しました。
この渓谷を最も雄大に楽しめるのが、新宮市熊野川町志古を出発するウォータージェット船での遊覧です。熊野川の本流を遡り、北山川の瀞峡まで往復約2時間半をかけて巡る船旅は、両岸の断崖を見上げながら水しぶきを浴びる爽快な体験。船上では船頭による軽妙な案内で、獅子岩・亀岩・松茸岩など名前のついた奇岩の数々を解説してくれます。途中の田戸(瀞ホテル)周辺では下船して散策することもでき、川面に映る岩壁の静けさを味わえます。
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の熊野エリアに含まれ、熊野三山参詣の途上で訪れる旅人も多い場所。新緑の季節には岩肌を覆う緑が川面に映え、夏は涼を求める人々で賑わい、秋には紅葉が断崖を染め上げ、冬は人影もまばらな静寂の渓谷美を堪能できます。アクセスはやや不便で、新宮駅からバスや車で1時間以上を要しますが、その分だけ秘境感は格別。熊野古道を歩く旅とあわせて訪れたい、紀伊半島の隠れた絶景スポットです。
アクセス
JR新宮駅から熊野交通バスで約50分「志古」下車、瀞峡ウォータージェット船乗り場
営業時間
ウォータージェット船 9:30〜14:30(季節変動あり)
料金目安
瀞峡めぐりウォータージェット船 大人¥3,440