
ゲストハウス「どこにもない家」
GALLERY
静岡県掛川市の自然に囲まれた一角に、築140年の古民家を改装したゲストハウス「どこにもない家」はひっそりとたたずんでいます。「時間を取り戻す宿」というコンセプトのもと、1日1組限定で訪れる人だけに開かれる、まるで時間が止まったような特別な空間です。
止まった時計が出迎える、非日常の空間
館内に置かれた時計は、すべて針が止まったままになっています。これは単なる演出ではなく、「あなたが時間を取り戻したとき、止まった針が動き出すかもしれない」という家主のメッセージが込められた仕掛けです。スマートフォンの通知も、スケジュールも、ここでは関係ありません。140年という時間が積み重なった梁や柱、畳の香り、そしてときおり聞こえてくる風鈴の音だけが、静かに時の流れを告げてくれます。
「どこにもない本屋」と、ハンモックでの午後
家主が1冊1冊コツコツと選び集めた蔵書を擁する図書室「どこにもない本屋」は、この宿の核心ともいえる場所です。棚に並ぶのは、昭和初期に発行された言語研究書から句集まで、ジャンルを超えた顔ぶれ。なかには、縁あって寄贈された中山綾子の句集『㐂びも 悲しみも』のように、本そのものに物語を持つ1冊も収まっています。ハンモックに揺られながら好きな本を開き、気がつけばうとうとしている——そんな贅沢な午後が、ここでは当たり前のように手に入ります。
囲炉裏を囲む、自由な使い方
1日1組限定という形式は、貸切に近い自由度を生み出しています。友人同士で台所に立って料理を作り、囲炉裏を囲んで食事とお酒を囲む。風呂上がりに畳の上で雑魚寝する。「ここでしかできない時間の過ごし方」を家主が大切にしているのは、均一なサービスではなく、訪れた人それぞれの過ごし方が宿の中で息づいてほしいという考えからです。
土と植物と、体験を通じた自然との接点
「自然に近く、生活に即す」という価値観は、宿泊の枠を超えた体験として提供されています。土や植物にふれること、手や体を動かすこと——そうした活動を通じて「自然な自分に近づく」場として、「どこにもない家」は機能しています。敷地の東側には竹林が広がり、60〜120年に一度しか咲かないという竹の花が実際に観察されたこともあります。図書室や奥の部屋の窓からは、父から受け継がれた紫陽花が庭を彩る姿を眺めることができます。
地域の文化と結びついた宿
この宿は掛川市の文化的な営みとも緩やかに繋がっています。掛川市横須賀にある私設美術館「愛宕下美術館」の保存再生活動に参加し、撤去された館内の柵を敷地内で再利用するなど、地域の「あるものを生かす」精神を体現しています。また、保育園留学の滞在先としても協力しており、短期滞在での子育て体験を求める家族を受け入れる場にもなっています。開業から8年を迎えた2026年8月には、オーナー家族による「長濱家展」も開催されるなど、宿そのものがひとつの文化の拠点として地域に根ざしています。
アクセス
静岡県掛川市大坂7824
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店舗詳細
- 対応言語
- 日本語 / 英語
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