
デコ屋敷 本家 大黒屋
GALLERY
福島県郡山市西田町の高柴地区に、三百年余の歴史を刻む張子人形の工房がある。デコ屋敷 本家 大黒屋は、郷土玩具の製造と絵付け体験を通じて、訪れる人に生きた伝統工芸の世界を開いている。
武将の末裔が起こした工房の始まり
大黒屋の創業は、江戸時代元禄年間にさかのぼる。その起源には、戦国時代の武将にまつわる来歴がある。伊達政宗正室・愛姫の生家である三春城主田村氏の四天王に数えられた橋本刑部という武将の一族が、武士の身分を離れてこの地・高柴村に帰農し、「大黒屋」の屋号のもとで信仰や縁起物をかたちにした土人形作りを始めたのが起こりとされる。戦国の動乱を生き抜いた家系が農の暮らしに根ざし、地域の人々の祈りや祝いを支える工芸品を作り続けてきた——その文脈が、大黒屋の品々に込められた重みを物語っている。
高柴に受け継がれる張子人形の顔ぶれ
大黒屋が手がける郷土玩具は多岐にわたる。江戸でも評判を呼んだという三春羽子板、独特な八方にらみの眼差しが特徴的な高柴ダルマ、そして天狗や七福神を写した張子面など、長い歴史の中で磨かれてきた多種の作品が今も製作されている。どれも、この土地と工房にしか生まれ得ない固有の表情を持つ。
手間と技が宿る、張子づくりの工程
張子人形は、濡らした和紙(合わせ紙)を木型に貼り重ねることから始まる。和紙をちぎりながら木型へ強く押し付け、何層にも積み上げる地道な作業のあと、型抜き・取組み・胡麻塗り・絵付け仕上げという各工程を経て、ひとつの人形が完成する。すべての工程は職人の手によるもので、その手仕事の温かみが作品の表情に滲み出る。また橋本家は祖先伝来の農業も続けており、「土を愛する心」が工芸品づくりの根底に流れているという。
絵付け体験で自分だけの一点を
工房では年間を通じて絵付け体験を受け付けており、訪問者自身が職人の気分で筆を執り、世界にひとつだけの張子作品を作り上げることができる。人数が多い場合は準備に時間がかかるため、事前予約が推奨される。
伝統を次の三百年へ
現在の工房主・橋本彰一氏は、伝統技術の継承にとどまらず、「未来を見据えた新しいかたちの張り子の世界」を模索している。大きなプロジェクトへの参加を経て、創造への意欲を新たにしながら、三百年続く張子の系譜を前へ進めようとしている。その姿勢は、大黒屋が単なる観光施設でなく、現在進行形の工芸の現場であることを示している。
アクセス
福島県郡山市西田町高柴字館野163(郵便番号〒963-0902)
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店舗詳細
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