別府地獄めぐり
別府温泉郷の中でも、特別な存在感を放つのが「地獄めぐり」です。熱湯や蒸気が激しく噴き出す源泉群を「地獄」と呼び、観光コースとして整備されたこの場所は、年間100万人以上が訪れる大分を代表する名所となっています。
「地獄」と呼ばれた源泉の歴史
鉄輪(かんなわ)温泉地区には、1000年以上前から熱湯や蒸気が噴き出す源泉が点在していました。その熱さと激しさから、かつては近寄ることもできない「忌み地」として恐れられ、人々は自然にこれを「地獄」と呼ぶようになりました。
室町時代の旅行記にもその名が記されており、長い年月をかけてこの厄介者だった源泉群は観光資源へと姿を変えていきます。昭和初期には現在のような観光地として整備が進み、現在は「海地獄」「血の池地獄」「龍巻地獄」「白池地獄」「鬼山地獄」「かまど地獄」「鬼石坊主地獄」の7つが国の名勝に指定されています。それぞれが独自の景観と特徴を持ち、訪れるたびに異なる驚きを与えてくれます。
7つの地獄、それぞれの個性
別府地獄めぐりの最大の魅力は、7つの地獄がまったく異なる表情を見せることです。
海地獄は、コバルトブルーの美しい色彩が目を引く最大の地獄です。硫酸鉄の成分が温泉水を青く染め、まるで南国の海を思わせる幻想的な光景が広がります。温度は約98℃と高く、広大な池からもうもうと湯気が立ち上る様子は圧巻。池の畔では熱帯性スイレンが咲き誇り、温泉の熱を利用したハウスでオオオニバスも育てられています。
血の池地獄は、真っ赤な色をした池が印象的な地獄で、日本最古の天然地獄とも言われています。酸化鉄や酸化マグネシウムを含む粘土が池を赤みがかった色に染め、その独特の色彩は撮影スポットとしても人気が高く、地獄の中でも特に強烈なビジュアルインパクトがあります。
龍巻地獄は、間欠泉が規則的に噴き上がる珍しい地獄です。約30〜40分おきに蒸気と熱湯が噴き出す自然の神秘を間近で観察でき、噴出の瞬間を待つ時間も旅の醍醐味のひとつとなっています。
鬼山地獄(別名ワニ地獄)は、温泉の熱を利用してワニを飼育していることで知られます。多数のワニが飼育されており、迫力満点の光景は子どもたちに特に人気です。
かまど地獄は、複数の異なる温泉を一か所で楽しめるユニークな地獄で、蒸気の吸入体験や足湯など体験型コンテンツが充実しています。
鬼石坊主地獄は、灰色の熱泥がぼこぼこと泡立つ様子が坊主頭に似ていることから名付けられました。粘性の高い泥が盛り上がっては消えていく動きは、どこか生き物のような不思議な迫力があります。
白池地獄は、噴出時は無色透明の温泉水が池に注がれると白濁に変わる変色現象が特徴です。穏やかな景観と熱帯魚の展示が楽しめる、落ち着いた雰囲気の地獄です。
地獄グルメと温泉体験
地獄めぐりでは観光だけでなく、地獄の蒸気を使った独特のグルメが楽しめます。
地獄蒸しプリンは、海地獄の売店で販売されるご当地スイーツで、温泉蒸気でじっくりと蒸し上げた濃厚な味わいが特徴です。温かいまま提供されることが多く、温泉地ならではの体験として多くの観光客に親しまれています。
温泉たまごも各地獄の売店で販売されており、源泉のそばで温められた半熟状の食感が人気です。その場で食べられる手軽さも魅力のひとつです。
鉄輪エリアには地獄蒸し体験ができる施設もあり、地元の野菜や海産物を地獄の蒸気で蒸す「地獄蒸し」を自分で体験できます。新鮮な食材の旨みを蒸気が引き出す独特の調理法は、別府観光のハイライトのひとつとして旅行者に人気を集めています。
鉄輪温泉エリアには、地獄めぐりと合わせて立ち寄れる共同浴場や足湯も点在しています。観光の疲れを癒しながら地元の人々とも触れ合えるこれらの施設は、旅の思い出をより豊かにしてくれます。
季節ごとの楽しみ方
別府地獄めぐりは一年を通じて楽しめますが、季節ごとに異なる風情があります。
春(3〜5月)は、海地獄の熱帯性スイレンが咲き始める季節です。穏やかな気候の中で温泉の蒸気と青空のコントラストが美しく、写真撮影に最適な時期でもあります。
夏(6〜8月)は、緑豊かな木々と白い蒸気のコントラストが印象的な季節。海地獄のオオオニバスが大きく育ち、幻想的な雰囲気を楽しめます。
秋(9〜11月)は、紅葉と温泉蒸気の組み合わせが美しい季節です。朝夕の気温が下がると蒸気の量が増し、幻想的な雰囲気が一層際立ちます。肌寒くなってきた頃の足湯は格別の心地よさです。
冬(12〜2月)は、冷たい外気と熱い蒸気のコントラストが最も劇的な季節です。地獄の蒸気が周囲に白く漂う様子は特に神秘的で、寒い季節にこそ訪れる価値がある光景と言えます。
アクセスと周辺情報
7つの地獄は大きく2つのエリアに分かれています。海地獄・鬼山地獄・かまど地獄・鬼石坊主地獄・白池地獄の5つが鉄輪エリアに集まっており、血の池地獄・龍巻地獄は少し離れた明礬(みょうばん)・亀川エリアに位置しています。
JR別府駅西口から亀の井バス(鉄輪行き)に乗り約20〜30分で鉄輪エリアへアクセスできます。7つの地獄を効率よく巡るにはレンタカーや観光タクシーの利用も便利です。7か所を回れる共通観覧券を利用すれば、各地獄を単独で訪れるよりもお得に楽しめます。営業時間は通常8時から17時(最終入園16時30分)ですが、季節や状況によって変わる場合があるため事前確認をお勧めします。
地獄めぐりを終えた後は、別府温泉の多彩な泉質を持つ温泉でゆっくり過ごすのが別府旅の定番スタイルです。塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫黄泉など日本有数の種類の泉質が揃い、日帰り旅行から数泊の湯治旅まで、さまざまなスタイルで楽しめます。
アクセス
JR別府駅からバスで約20分
営業時間
8:00〜17:00
予算内訳
大人
¥2,000
施設の特徴
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