
有峰ダム(北陸電力)
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標高約1,100mの高原盆地に静かにたたずむ有峰ダムは、北陸電力が誇る水力発電の要衝であり、同時にダム湖百選にも選ばれた絶景スポットでもある。近代化産業遺産群の認定施設としての重みと、四季折々の自然美が重なり合う、唯一無二の訪問地だ。
戦後復興を支えた難工事の歴史
有峰ダムの誕生は、戦後の深刻な電力不足という社会的危機と切り離せない。北陸電力が立ち上げた常願寺川有峰発電計画(JAP)は、有峰ダムを中核に据えた7発電所・約27万キロワット開発という壮大な構想だった。総工費370億円は当時の資本金50億円の7倍を超える規模であり、会社の命運をかけた大事業だったことがわかる。
建設地は山深く人里を離れた厳しい地形で、悪天候を含む幾多の難条件が重なった。それでも延人員800万人を動員して工事をやり遂げ、昭和35年に完成を迎えた。この歴史は今も北陸電力の社史に語り継がれている。
圧倒的なスケールのダムデータ
完成した有峰ダムは、常願寺川水系の和田川に築かれた重力式コンクリートダムだ。堤高140m、堤頂長500m、堤体積は約160万立方メートルに及ぶ。総貯水量2億2,300万立方メートル、有効貯水容量2億500万立方メートルという数字は、北陸地方の電力と水を支えるのに十分な規模を示している。
昭和56年には夏場のピーク需要に対応するための再開発工事が完了し、有峰第一・第二・第三の3発電所が運転を開始。合計約40万キロワットの発電能力が加わった。現在、常願寺川水系全体で28か所の発電所が稼働し、最大約82万キロワットを発電する。さらに発電に使った水は流域のかんがい用水や富山市の水道用水としても再利用されており、電力だけにとどまらない多面的な役割を果たしている。
有峰湖展望台とダム湖百選の絶景
有峰ダムの観光の核となるのが、有峰湖展望台からの眺めだ。湖面に浮かぶ宝来島を含む景観は、平成17年にダム湖百選に選定されており、その風景は人工物と自然が融け合う独特の美しさを持つ。眼下に広がる貯水湖と、周囲の山々が織り成す全景は、ただ「大きなダム」という枠を超えた感動を与えてくれる。
紅葉シーズンに際立つ湖とのコントラスト
10月の紅葉期には、カエデ・ブナ・ミズナラ・カラマツが一斉に色づき、有峰湖の青みがかった水面との対比が鮮やかに浮かび上がる。標高1,100mという高さゆえに紅葉の訪れは早く、平地より一足先の秋色を楽しめる。
ダムミステリーツアーとビジターセンターの体験
年に一度、8月第1土曜日に開催される「有峰で遊ぼう!! 有峰森林文化村 開村の日」では、「有峰ダムミステリーツアー」が催される。このツアーに参加すると、普段は立ち入れないダムの内部を見学できる貴重な機会となっている。
有峰ビジターセンター(富山県富山市有峰26-15)では、有峰の自然・歴史・文化の紹介に加え、遊歩道案内やキャンプ場の利用受付も行っている。ダムカードはここで9時〜16時30分の間に配付されており、ダムファンにとって立ち寄り必須のスポットだ(冬期は有峰林道閉鎖のため配付不可)。
また、有峰林道小見線の亀谷連絡所そばにある大山歴史民俗資料館では、富山市大山地域の歴史・文化を紹介するとともに、有峰第一発電所で実際に使用されていた水車ランナが展示されており、ダム建設の技術史を肌で感じられる。
アクセスと注意点
有峰ダムへは、富山地方鉄道・有峰口駅から車で約40分、立山ICからは約70分。途中、有料の有峰林道を通行する必要がある。冬期間は有峰林道が閉鎖されるため、訪問できる季節は限られる。公共交通では夏山バス(富山-有峰線)が富山駅から有峰記念館前まで運行されており、そのまま薬師岳登山口の折立まで足を延ばすことも可能だ。なお、ダムおよび周辺エリアはドローン飛行が規制されているため注意が必要。
アクセス
富山地方鉄道有峰口駅より車で約40分、または立山ICより車で約70分。公共交通機関では富山駅から夏山バス富山-有峰線で有峰口経由で有峰記念館前へ
営業時間
有峰ビジターセンター 9:00〜16:30(冬期11月上旬〜5月31日は有峰林道閉鎖のため営業停止)
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