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海士町中央図書館

海士町中央図書館

※写真はイメージです。

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離島という地理的条件を逆手に取り、「本を借りる場所」を超えた地域コミュニティの核として機能させようとした実験が、海士町中央図書館には凝縮されている。2010年に「島まるごと図書館構想」の中枢として開館したこの図書館は、単なる蔵書施設ではなく、島外からの移住者も含めた多様な人々が自然と立ち寄り、語り合える場として設計されている。

「島まるごと図書館構想」の核

海士町中央図書館は、島全体を一つの図書館に見立てるという構想の拠点として生まれた。隠岐開発総合センター(海士町中央公民館)の中に設けられており、行政機能と日常生活が交差するこの建物に図書館が同居することで、「ついでに立ち寄る」動線が生まれている。窓の外には海士町中里地区の田んぼが広がり、島の四季が移り変わる風景を眺めながら本を読める環境は、都市部の図書館では得難い体験だ。

カフェと読書が共存する滞在空間

図書館入り口には飲み物を楽しみながらくつろげるカフェコーナーが設けられている。飲食しながら本を読んでいい、という空間づくりは「長居しやすい場」を意図的に作り出すものだ。雑誌・新聞コーナーも入り口近くに配置されており、最新号は館内閲覧のみだが、バックナンバーは貸出可能という使い分けがされている。立ち読み感覚で気軽に情報を取れる導線が整っている。

種を借りて育てるシードライブラリー

この図書館の最もユニークな取り組みが「シードライブラリー」だ。種(seed)を本のように借り、育てて収穫した後に種を返却するというシステムで、農業と図書館の概念を掛け合わせたものと言える。近年は国内外でこの仕組みへの関心が高まっているが、離島・農村という文脈に置くと、地産地消や在来種の保全という意味合いも自然に重なってくる。本だけでなく「知識の循環」を体現した取り組みとして注目されている。

えほんのへや——子どもがゆっくりできる場

開発センターに入って左手には「えほんのへや」が設けられており、絵本と児童書が並ぶ子ども専用スペースとなっている。落ち着いてくつろげる雰囲気で、小さな子どもが読書に慣れ親しむ入り口として機能している。

島全体に張り巡らされた返却ネットワーク

中央図書館で借りた本を返すために、わざわざ図書館まで足を運ぶ必要はない。菱浦港のキンニャモニャセンター、保健福祉センターひまわり、各公民館、海士歯科診療所、あまマーレ、隠岐國学習センターなど、島内各地に返却ボックスが分散配置されている。この返却ネットワーク自体が「島まるごと図書館」という構想を空間的に体現しており、生活動線の中で図書館を使い続けられる仕組みになっている。

高齢者・遠隔地への出張・遠隔サービス

図書館に直接来館できない高齢者を対象に、健康福祉課の健康相談に合わせて年に複数回、希望する5地区を巡回する「本の宅配便(移動図書館サービス)」も実施されている。また、島根県立図書館の蔵書を中央図書館が取り次ぎ施設となって貸し出す「遠隔地貸出サービス」も備えており、離島にいながら県立図書館の資料にアクセスできる環境が整っている。一人15冊・3週間(1回延長可)という貸出条件も、交通便の少ない離島生活に配慮した設定だ。

アクセス

隠岐汽船菱浦港フェリーターミナルより車で約6分、徒歩約40分 島内巡回バス豊田線で「役場前」下車(14分)

営業時間

9:00~18:30、定休日: 毎週火曜日(祝日の場合は翌日)

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対応言語
日本語

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