北海道のほぼ中央、石狩平野に広がる砂川市。人口約2万人のこの小さな町が、北海道屈指の「スイーツタウン」として知られていることを知る人は意外と少ない。国道12号沿いにわずか1キロほどの区間に7軒以上の洋菓子店が集結した「すながわスイートロード」は、北海道菓子文化の真髄を凝縮した場所だ。
甘さの街が生まれるまで ── 砂川スイートロードの歴史
砂川市の菓子文化の歴史は、戦後の復興期にさかのぼる。農業が盛んな石狩平野の中心に位置する砂川では、地元で生産される小麦や牛乳、バターといった良質な農産物が豊富に手に入った。終戦後、復興とともに地元に根付いた菓子職人たちが、その恵まれた素材を活かして店を開いていった。
1960〜70年代にかけて、国道12号沿いに菓子店が次々と軒を連ねるようになり、やがてこの通り全体がスイーツの聖地として認知されるようになった。1990年代には「すながわスイートロード」として公式に命名され、北海道内外から観光客が訪れる名所となった。日本菓子協会が認定する「日本一の菓子の街」としての評価も高く、人口あたりの菓子店数が全国トップクラスという異色の記録も持つ。
小さな地方都市が菓子で全国に名をはせた背景には、地元農家・牧場との長年にわたる連携と、職人たちの技術への真摯な姿勢がある。今も各店が素材と製法にこだわりを持ち続け、代替わりしながらも伝統の味を守り継いでいる。
個性が光る名店めぐり
すながわスイートロードの魅力は、個性の異なる名店が徒歩圏内に集まっていることだ。各店はそれぞれ看板商品を持ち、食べ比べながら巡る楽しさがある。
ナカヤ菓子店は、スイートロードを代表する老舗のひとつ。名物のシュークリームは皮がサクサクでクリームがたっぷりと詰まり、地元のファンが毎週通うほどの人気ぶりだ。昔ながらの丁寧な仕事ぶりが光る、砂川菓子文化の礎ともいえる存在である。
北菓楼(きたかろう)は、バウムクーヘンで全国的な知名度を誇る。北海道産の素材を使った生地はしっとりと柔らかく、素朴な甘さが特徴。北海道土産の定番商品としても人気が高く、道内外で広く知られるようになった。本店ではできたてのシュークリームも販売しており、店頭に行列ができることも珍しくない。
いしや製菓は、道産子素材にこだわったアップルパイが看板商品。北海道産りんごをたっぷり使ったフィリングは甘みと酸味のバランスが絶妙で、サクサクのパイ生地との相性が抜群だ。
このほかにも、洋菓子から和洋折衷スイーツまで各店が趣向を凝らした商品を揃えている。スタンプラリー形式の「スイーツめぐりマップ」が観光案内所などで入手でき、全店を制覇する楽しみ方も人気だ。
北海道の恵みが生む、極上の味
すながわスイートロードの菓子が特別な理由のひとつは、原材料の質の高さにある。石狩平野は北海道有数の農業地帯であり、小麦・てんさい糖・牛乳・バターといった洋菓子に欠かせない素材の産地として知られている。
各店が使用する北海道産小麦は、他の産地のものとは異なる独特の風味を持つ。バターや生クリームは道内の牧場から直接仕入れるケースも多く、ミルクの豊かな香りとコクが菓子全体に行き渡る。砂川のシュークリームやバウムクーヘンが「どこか違う」と感じられるのは、こうした素材の力があるからこそだ。
また、砂川の菓子店は価格の手頃さでも評判が高い。有名百貨店のスイーツと比べてもコストパフォーマンスに優れ、旅行者から地元客まで幅広く愛されている。食べ歩き用の小サイズや詰め合わせギフトも充実しており、お土産選びにも困らない。
季節ごとに変わる、スイーツロードの表情
すながわスイートロードは、季節ごとに異なる魅力を見せる。
春(4〜5月)は、北海道に遅い春が訪れる季節。各店で春限定フレーバーの新商品が登場し、苺や桜を使ったスイーツが店頭を彩る。ゴールデンウィークには道内外から多くの観光客が訪れ、通り全体が活気に包まれる。
夏(7〜8月)は、北海道の短くも爽やかな季節。涼しい気候の中でのスイーツ巡りは快適で、冷たいアイスクリームやソフトクリームが各店に並ぶ。砂川市周辺では農業体験イベントも開催され、スイーツ巡りと組み合わせた旅を楽しむ家族連れの姿も多い。
秋(9〜10月)は、北海道産りんごや南瓜(かぼちゃ)を使った秋限定菓子が登場するシーズン。いしや製菓のアップルパイは収穫期のりんごを使った季節限定バージョンが人気で、売り切れになることも多い。
冬(11〜3月)は、雪に包まれた砂川でしんしんとしたムードの中スイーツを楽しむ季節。年末年始のギフト需要が高まり、詰め合わせセットが飛ぶように売れる。クリスマスシーズンには各店が特製ケーキを販売し、予約が殺到することもある。
アクセスと周辺観光情報
砂川市へのアクセスは、JR函館本線「砂川駅」が最寄り。札幌駅から特急「ライラック」や「カムイ」を利用すると約50〜60分で到着する。旭川方面からは約40分とほどよい距離感だ。レンタカーの場合、道央自動車道・砂川スマートICから国道12号沿いのスイートロードまで約10分でアクセスできる。
スイートロードは約1キロの区間に店が集まっているため、各店に駐車場が整備されており車移動も快適だ。徒歩での食べ歩きも十分楽しめる距離感で、観光マップを片手にのんびり歩く散策スタイルも人気がある。
周辺には、砂川市内の「砂川オアシスパーク」(道の駅・温泉・宿泊施設の複合施設)があり、スイーツ巡りと組み合わせた1泊2日の旅プランも楽しめる。また、滝川市・赤平市など近隣エリアにも北海道の自然と農業を体感できる観光地が点在しており、砂川を拠点にした石狩平野ドライブも魅力的だ。週末には混雑することもあるため、平日の訪問や各店の開店直後の来店がおすすめだ。
액세스
JR砂川駅から徒歩15分、札幌から車で約1時間
영업시간
9:00〜18:00(店舗により異なる)
예산
300〜1,500円