日本海に浮かぶ小さな島でありながら、その存在感は圧倒的だ。北海道・羽幌町から約27kmの沖合に位置する天売島は、約100万羽もの海鳥が繁殖する「海鳥の聖地」として、国内外の自然愛好家やバードウォッチャーから熱い注目を集めている。手つかずの自然と、豊かな漁業文化が息づくこの島には、他では決して味わえない特別な体験が待っている。
100万羽の鳥たちが暮らす、命の楽園
天売島を語るうえで欠かせないのが、圧倒的な規模の海鳥コロニーだ。島では8種類もの海鳥が繁殖しており、その総数は約100万羽にも及ぶ。なかでも特筆すべきは、世界最大級のウトウ(エトピリカの仲間)のコロニーで、約72万羽が島内に巣穴を掘って営巣している。
日没後、海へ採餌に出かけていたウトウが一斉に帰巣する光景は「百万羽の帰巣」と呼ばれ、島を訪れた人々が口をそろえて「一生に一度は見るべき絶景」と称える感動のシーンだ。ウトウたちが暗がりのなかを次々と飛び込んでくる様子は、まるでファンタジーの世界に迷い込んだかのような非現実感を与えてくれる。
また、「オロロン鳥」の愛称で知られるウミガラスも天売島を代表する鳥のひとつ。かつて数万羽が生息していたが、現在は数羽から十数羽程度まで激減しており、その保護活動が島全体で取り組まれている。ほかにもケイマフリ、ウミネコ、オオセグロカモメなど多彩な種が島を彩り、まさに「野鳥図鑑が飛び交う島」と形容するにふさわしい環境が整っている。
島の自然と絶景ポイント
天売島の面積は約5.5平方キロメートルと小ぶりながら、変化に富んだ地形が訪れる人を飽きさせない。島の西側に広がる断崖絶壁「赤岩」は、高さ50メートルを超える荒々しい海食崖で、島を代表する景勝地として知られている。赤みがかった岩肌と、そこに打ちつける荒波のコントラストは、写真映えするだけでなく、大自然の力強さを肌で感じさせてくれる。
赤岩展望台からは、天気の良い日には焼尻島や利尻島、礼文島まで見渡すことができ、北海道の離島ならではの雄大な眺望が広がる。また、島の外周を一周する遊歩道(約12km)を歩けば、断崖の上から海鳥の営巣地を間近に見下ろしたり、日本海の水平線を望む絶景ポイントに何度も出会ったりすることができる。体力に自信のある人は、ぜひ島一周のトレッキングに挑戦してほしい。
旬の季節と海鳥観察のベストタイム
天売島への訪問に最適な季節は、海鳥が繁殖活動を行う春から夏にかけての4月〜8月だ。この時期には、ウトウやウミネコが子育てに奮闘する様子を観察でき、島全体が命の息吹にあふれる。
特に7月〜8月は、ウトウの帰巣ピーク期にあたる。日没後の暗闇のなか、漆黒の空を次々と飛来するウトウの群れを見るためだけに、全国各地から観光客が押し寄せる。島では夜間の帰巣観察ツアーが催行されており、ガイドの解説を聞きながら幻想的な光景を楽しむことができる。
一方、春先の5月〜6月はウミネコやオオセグロカモメのヒナが孵化し始める時期で、親鳥が懸命にヒナを守る姿に心を動かされる人も多い。秋以降は鳥の数こそ減るものの、静寂な島の雰囲気と漁業シーズンの賑わいが重なり、また異なる魅力を見せてくれる。
海の幸と島の食文化
天売島の魅力は自然だけにとどまらない。豊かな漁場に恵まれた島では、新鮮な海産物を使った料理が旅の楽しみのひとつだ。ウニ・ホタテ・タコ・ナマコなどが主要な漁獲物で、なかでも天売島産のムラサキウニとバフンウニは、濃厚な甘さと風味で美食家たちを唸らせている。
島の食堂や民宿では、朝獲れの魚介類を使った海鮮丼や刺身定食を味わえるほか、地元の漁師が手がけた干物や加工品もおみやげとして人気が高い。小さな島ながら、宿泊施設では一品ずつ丁寧に仕上げた料理を提供しており、食を通じて島の暮らしを感じることができる。漁業と観光が共存するこの島では、漁師と旅人の距離が近く、気さくな島民との交流もまた、天売島ならではの旅の醍醐味といえる。
アクセスと周辺情報
天売島へのアクセスは、羽幌港または苫前港からのフェリーを利用する。羽幌港からは定期船「おろろん2」が運航しており、所要時間は約2時間(焼尻島経由)。夏季は増便されるが、冬期は欠航が多いため、訪問時期には注意が必要だ。
島内の移動は徒歩か自転車が基本となる。民宿やキャンプ場で自転車をレンタルできる施設もあるため、島内をのんびりと巡るのに活用したい。宿泊は島内の民宿を事前に予約しておくことが必須で、シーズン中は早めの予約が肝心だ。日帰り観光も可能だが、ウトウの帰巣を見るためには1泊が強く推奨される。
島を訪れる際は、海鳥の営巣地に立ち入らない、大声を出さないなど、自然環境への配慮を忘れずに。天売島の豊かな自然は、島民とそこに生きる鳥たちの共存によって守られている。その奇跡のような生態系を次の世代へ引き継ぐためにも、訪れる一人ひとりの心がけが大切だ。
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