三浦半島の最南端に浮かぶ城ヶ島は、神奈川県三浦市に属する周囲約4キロの小さな島だ。太平洋の荒波に長い年月をかけて削られた断崖絶壁と奇岩が連なる景観は、関東近郊の自然スポットの中でも屈指の迫力を誇る。そして冬になると、この断崖にウミウの群れが集結するという、他ではなかなか見られない光景が島を訪れる人々を魅了している。
城ヶ島とウミウ展望台の概要
城ヶ島の南岸には「ウミウ展望台」と呼ばれる観察ポイントが設けられており、断崖の上から太平洋を一望しながらウミウの群れを観察できる。ウミウ(海鵜)はカツオドリ目ウ科の海鳥で、主に沿岸部の岩礁地帯に生息し、優れた潜水能力を持つことで知られる。城ヶ島の断崖は、彼らが好む急峻な岩場の地形を備えており、毎年秋から冬にかけて数百羽ものウミウが飛来してくる。
展望台からは岩棚や崖の縁にずらりと並ぶウミウの群れを間近に眺めることができ、黒光りする羽を広げて乾かす姿や、海へ飛び込んで魚を捕るダイナミックな動きなど、野生の鳥の生態をリアルに観察できるのが大きな魅力だ。双眼鏡を持参すると、より細かな動きまで楽しめる。
断崖絶壁が生み出す圧倒的な景観
城ヶ島の南岸は「城ヶ島南岸遊歩道」として整備されており、展望台を起点に海沿いを歩きながら、変化に富んだ地形を堪能できる。波浪によって形成された海食洞や、柱状節理の岩肌、荒々しい波しぶきが打ち寄せる磯など、地球の長い営みが刻んだ造形美が随所に広がっている。
特に「馬の背洞門」は城ヶ島を代表する奇岩で、海食によって貫通した岩のアーチは高さ約8メートルに達する。かつては洞門をくぐることができたが、2016年に天井部が崩落したため現在は立入禁止となっている。しかし遠方から眺めるその姿は今も十分に印象的であり、城ヶ島を訪れた証として写真に収める人が後を絶たない。
断崖の上から見下ろす太平洋の眺望も格別で、晴れた日には水平線のかなたまで海が広がり、遠く伊豆大島や三宅島などの伊豆諸島を望むこともある。
季節ごとの楽しみ方
城ヶ島はどの季節に訪れても異なる表情を見せてくれる島だが、ウミウ観察を目的とするなら秋から冬がベストシーズンだ。10月頃から飛来数が増え始め、12月から翌年2月頃にかけてピークを迎える。空気が澄んだ晴れた冬の日には、青い海と白い波しぶきを背景に群れをなすウミウの姿が鮮明に見え、展望台からの眺めは特に素晴らしい。
春(3月〜5月)は磯遊びの季節だ。城ヶ島の海岸線には潮溜まり(タイドプール)が多数あり、イソギンチャクやヤドカリ、小魚など多様な生き物を観察できる。ウニやヒトデなど普段見慣れない生き物との出会いは、子どもたちにとって忘れられない体験となるだろう。
夏(7月〜8月)は海水浴やシュノーケリングを楽しむ人々で賑わう。城ヶ島の海は透明度が高く、岩礁周辺では色とりどりの魚が泳ぐ姿を水面越しに見ることができる。島の北側にある城ヶ島海水浴場は比較的穏やかな波が特徴で、ファミリーにも安心だ。
秋(9月〜11月)は渡り鳥の観察シーズンでもある。三浦半島は鳥類の渡りのルート上に位置しており、多様な種類の野鳥が立ち寄る。バードウォッチャーにとっても、この時期の城ヶ島は見逃せないスポットだ。
北原白秋と城ヶ島の文学的風景
城ヶ島はその美しい自然景観から、古くから詩人や文人を引きつけてきた。明治から大正にかけて活躍した詩人・北原白秋は、1913年(大正2年)に城ヶ島に居住し、島の雰囲気を愛した。彼がここで書いた「城ヶ島の雨」は「雨はふるふる 城ヶ島の磯に」という一節で広く知られる名作で、島の海霧や潮風の情景を情感豊かに描いている。
島内の城ヶ島公園には北原白秋の詩碑が建立されており、詩の一節を刻んだ石碑の前に立つと、百年以上前に白秋が感じたのと同じ潮の香りや波音を体感できる。自然散策と文学散歩を兼ねた島めぐりは、城ヶ島ならではの楽しみ方の一つだ。
アクセスと周辺情報
城ヶ島へのアクセスは、京急久里浜線「三崎口駅」からバスを利用するのが一般的だ。「三崎口駅」から京急バスで「城ヶ島」バス停まで約30分。バス停から展望台までは徒歩でアクセスできる。東京・横浜方面からは電車とバスを乗り継いで約1時間半〜2時間程度とアクセスしやすく、日帰り旅行にちょうど良い距離感だ。
マイカーの場合は首都高速・横浜横須賀道路を経由し、三崎口ICから城ヶ島大橋を渡って島内へ。城ヶ島大橋は有料道路(普通車200円)で、島内には複数の駐車場がある。ただし週末や連休は混雑するため、早めの出発を心がけたい。
周辺の三崎港は「マグロの町」として有名で、新鮮なマグロを使った料理を提供する飲食店が軒を連ねている。城ヶ島観光と合わせて三崎でマグロ料理を楽しむのが、この地域の定番の過ごし方だ。また、三浦半島はキャベツやスイカなどの農産物の産地でもあり、道の駅などで地元の野菜や果物を買い求めることもできる。島の周辺には宿泊施設もあるため、一泊してゆっくりと島の自然を堪能するのもおすすめだ。
액세스
京急三崎口駅からバスで30分「城ヶ島」下車
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