角館は、秋田県仙北市に位置する「みちのくの小京都」と称される城下町で、江戸時代の武家屋敷が立ち並ぶ「内町」の町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。元和六年(1620年)に芦名氏が角館城下の町割りを整備し、その後佐竹北家が統治した約四百年の歴史を持つこの町は、黒板塀と枝垂桜が織りなす日本の城下町の原風景を今に伝える貴重な場所です。
角館が最も華やかに輝くのは、四月下旬から五月上旬にかけての桜の季節です。武家屋敷通りを覆うように咲き誇る約四百本の枝垂桜は、その多くが京都から移植された品種で、国の天然記念物に指定されています。三百年以上の樹齢を持つ古木もあり、淡いピンク色の花が黒板塀の上からしなやかに垂れ下がる光景は、日本の春を象徴する絶景として全国にその名を馳せています。桧木内川堤のソメイヨシノの桜並木は約二キロメートルにわたって続き、武家屋敷通りの枝垂桜とあわせて「角館の桜」として日本さくら名所百選に選ばれています。桜まつり期間中は約百三十万人が訪れ、東北を代表する花見スポットとなっています。
武家屋敷通りは約六百メートルにわたり、六つの武家屋敷が一般公開されています。最も格式の高い「石黒家」は角館最古の武家屋敷で、現在も子孫が住みながら一部を公開しており、座敷から眺める庭園の美しさは格別です。「青柳家」は敷地面積三千坪を誇る最大規模の武家屋敷で、武具や美術品のコレクションに加え、秋田蘭画(西洋画法を取り入れた独自の絵画様式)の名品を展示しています。「岩橋家」は中級武士の典型的な住居で、当時の武士の暮らしぶりを知ることができます。
秋の角館も見逃せません。武家屋敷通りの木々が赤や黄に色づく十月下旬から十一月上旬は、春の桜に匹敵する美しさです。特に紅葉した枝垂桜の葉が黒板塀に映える光景は、角館ならではの秋の風物詩です。冬は雪に覆われた武家屋敷が凛とした静寂に包まれ、しんしんと降る雪の中を歩く体験は東北の冬旅の醍醐味です。
角館の伝統工芸として知られる「樺細工(かばざいく)」は、山桜の樹皮を加工した工芸品で、角館が日本で唯一の産地です。茶筒やお盆、小物入れなどの実用品は、桜皮の光沢と温もりのある手触りが魅力で、使い込むほどに飴色に変化する経年美化も楽しめます。武家屋敷通り沿いの工房では、職人の実演を見学したり、樺細工の製作体験をすることもできます。
毎年九月七日から九日にかけて開催される「角館祭りのやま行事」は、ユネスコ無形文化遺産に登録された勇壮な祭りです。高さ約五メートルの山車(やま)を若者たちが引き回し、狭い通りで山車同士がぶつかり合う「やまぶつけ」は、町全体が興奮の渦に包まれる迫力満点の光景です。
角館のグルメでは、稲庭うどんが外せません。三百年の伝統を持つ秋田県南部の名物で、手延べ製法による細くなめらかな麺は、独特のコシとのど越しの良さが際立ちます。比内地鶏の親子丼やきりたんぽ鍋も秋田ならではの味覚として人気です。桧木内川沿いのカフェでは、地元産のあきたこまちを使ったスイーツや、角館限定の桜アイスクリームも楽しめます。
アクセスはJR秋田新幹線「角館駅」から徒歩約二十分。東京からは秋田新幹線で約三時間十五分と、日帰り圏内です。武家屋敷通りの散策には約一〜二時間、周辺観光を含めると半日から一日が目安です。みちのくの小京都で、四百年の時を超えた武家文化と四季折々の美しさに触れてみてください。
액세스
JR角館駅から徒歩20分
영업시간
散策自由(各屋敷は9:00〜17:00)
예산
300〜500円(各屋敷入館料)