瀬戸内海に浮かぶ小さな島・大久野島は、約900羽もの野生のうさぎが自由に暮らす、世界でも珍しい「うさぎの島」です。広島県竹原市から船でわずか15分という近さながら、そこには日常とはかけ離れた、ほのぼのとした別世界が広がっています。
うさぎと出会う島旅の魅力
大久野島の桟橋に降り立った瞬間、あなたはきっと驚くはずです。船着き場のすぐそばから、茶色や白、グレーなどさまざまな色のうさぎたちがぴょんぴょんと跳ねながら近づいてきます。人を怖がらないうさぎたちは、手を差し伸べるだけで寄ってきてくれ、ペレットや乾燥した野菜などのエサを差し出すと夢中でかじりつきます。
島全体がうさぎたちの楽園であり、草むらにもビーチにも、廃墟の壁のそばにも、いたるところにうさぎの姿があります。抱っこはできませんが、足元にまとわりつかれたり、背中に乗り上げられたりと、自然なふれあいの中で思わず顔がほころぶ体験が続きます。特に小さな子どもたちにとっては、動物園では味わえないワイルドなふれあいが忘れられない思い出になるでしょう。
エサは島内の休暇村大久野島でも販売していますが、本州側の忠海港近くのコンビニやスーパーで購入して持ち込むのがおすすめです。ただし島内の自然を守るため、うさぎに与えてよいものは決まっており、レタスやキャベツ、ペレットなどが基本。チョコレートや塩気のある食べ物は厳禁です。うさぎたちの健康を守りながら、優しくふれあいましょう。
島が秘める歴史——毒ガス工場の記憶
大久野島には、愛らしいうさぎのイメージとは対照的な、重い歴史が刻まれています。1929年(昭和4年)から第二次世界大戦終戦まで、この島には陸軍の毒ガス製造工場が置かれていました。当時、島の存在は軍事機密とされ、一時期は地図から消されていたとも言われています。
現在も島内には、当時の発電所跡や毒ガス貯蔵庫跡、火薬庫跡などの廃墟が点在しており、ツタに覆われたコンクリートの残骸が往時の歴史を静かに物語っています。島の中心部にある「大久野島毒ガス資料館」では、当時の工場の様子や毒ガス製造に従事した人々の苦労、戦争の悲惨さについて学ぶことができます。入館料は無料で、貴重な資料や写真が展示されており、子どもから大人まで平和について深く考えるきっかけになります。
うさぎが走り回る草地のすぐそばに廃墟が佇む景観は、生命の営みと歴史の重さが交差する、この島ならではの独特な光景です。観光を楽しみながら、かつてここで起きたことにも思いを馳せてみてください。
サイクリングで島を一周する楽しみ
大久野島の周囲はおよそ4.3キロメートル。起伏は少なく、自転車でのんびりと一周するのに最適なサイズです。島内にはレンタサイクルの施設があり、手軽にサイクリングを楽しめます。
コースのハイライトのひとつが、島の西側に広がる「長浦毒ガス貯蔵庫跡」周辺の眺め。苔むしたコンクリートとうさぎたちが共存する場所は、フォトジェニックなスポットとしても人気があります。また、島の南東部には「休暇村大久野島」のビーチが広がっており、夏には海水浴やシュノーケリングも楽しめます。透明度の高い瀬戸内の海は穏やかで、家族連れでも安心して遊べる環境です。
サイクリングの途中でうさぎが道路に飛び出してくることも多く、思わずブレーキをかけて和む場面も。急がず、うさぎのペースに合わせながらのんびり走るのが、大久野島流のサイクリングスタイルです。
季節ごとの楽しみ方
大久野島は年間を通じて訪れることができますが、季節によって島の表情が大きく変わります。
**春(3月〜5月)**は桜や菜の花が咲き乱れ、うさぎとのツーショットが美しい写真を撮るのに最高の季節です。新緑の中をうさぎが駆け回る光景は、まさに絵本の世界のよう。ゴールデンウィークには観光客が多く訪れるため、早めのフェリー乗船がおすすめです。
**夏(6月〜8月)**はビーチが開放され、海水浴やキャンプが人気を集めます。うさぎは日中の暑い時間帯に木陰で休んでいることが多いため、ふれあいを楽しみたいなら朝夕の涼しい時間帯を狙いましょう。夜はキャンプ場でのんびりと星空を眺めながら、瀬戸内の夜を満喫できます。
**秋(9月〜11月)**は気候が穏やかで、島内を散策するのに最も快適な時期です。うさぎの活動も活発になり、ふれあいを楽しみやすくなります。紅葉と廃墟が織りなす風景は、静かで趣深い雰囲気を醸し出します。
**冬(12月〜2月)**は観光客が少なく、うさぎとゆっくり過ごせる穴場シーズンです。空気が澄んでいるため、島から見える瀬戸内海や遠くの島々の眺めも格別。防寒対策をしっかりとして、静かな冬の島旅を楽しんでください。
アクセスと宿泊情報
大久野島へのアクセスは、JR呉線「忠海駅」から徒歩約5分の忠海港からフェリーで約15分です。1日に複数便が運航しており、所要時間も短いため、日帰りでも十分楽しめます。広島市内や尾道からもアクセスしやすく、観光の拠点としても便利な場所に位置しています。また、大三島(愛媛県今治市)からもフェリーが出ているため、しまなみ海道の旅と組み合わせるルートも人気です。
島内には「休暇村大久野島」という宿泊施設があり、ここに泊まることで早朝や夕暮れ時のうさぎとのふれあいを堪能できます。日帰り客がいない時間帯のうさぎたちは格段におとなしく、よりディープな島の魅力を感じることができるでしょう。レストランでは瀬戸内の海の幸を使った料理も楽しめます。
日帰りの場合、島内での滞在は2〜3時間が目安。フェリーの時刻を事前に確認し、最終便の時間には余裕を持って桟橋に戻るようにしましょう。帰りのフェリーを待つ間も、桟橋付近でうさぎとのラストふれあいを楽しめます。うさぎの島・大久野島は、一度訪れたらきっとまた来たくなる、不思議な魅力にあふれた場所です。
액세스
JR忠海駅から徒歩5分の忠海港からフェリーで15分
영업시간
フェリー 7:00〜19:00
예산
フェリー往復 620円