函館港に面して立ち並ぶ赤レンガ倉庫群は、明治時代から受け継がれた歴史的な建造物でありながら、今も人々の暮らしと文化をつなぐ場として息づいています。その一角に、道南エリアの若手作家たちが手がけるローカルクラフトが集まるショップがあり、旅の記念にふさわしい一点ものと出会える場所として、地元の人々や旅行者から親しまれています。
金森赤レンガ倉庫、その歴史と現在
函館の金森赤レンガ倉庫は、明治13年(1880年)に貿易商・渡邊熊四郎が建設した倉庫群を起源とします。函館港は江戸末期の開港以来、北海道最大の貿易拠点として栄え、物資の集積地として赤レンガの倉庫群が立ち並びました。幾度もの函館大火を乗り越えながら、堅牢なレンガ造りの建物は今日まで姿を残しています。
1988年には複合商業施設として生まれ変わり、現在は「BAY函館」「函館ヒストリープラザ」「西波止場」「函館明治館(旧函館郵便局)」などのエリアで構成されています。ショップやレストランが並ぶ中、道南地域のクラフト作家の作品を紹介するスペースは、この場所に新たな文化的な役割を加えています。重厚なレンガの壁と木の梁が交差する空間の中で作品を眺めると、歴史の厚みと現代の感性が交わる独特の雰囲気を体感できます。
道南の素材が生み出すクラフトの世界
このショップで出会える作品の大きな特徴は、道南エリアならではの素材を活かしている点です。函館近海の海をイメージした深い青や緑を用いた陶器は、海辺の街で暮らす作家たちの日常の風景から生まれたもの。土の質感と釉薬の表情が一点ごとに異なり、同じ型から作られたものであっても、焼き上がりにそれぞれの個性が宿ります。
木工品には、江差地方に自生するヒノキアスナロ(ヒバ)が使われています。ヒノキアスナロは水に強く耐久性が高いことから、古くから北海道の建築や生活用品に用いられてきた木材です。独特の芳香を持ち、木目が美しいこの素材を活かして作られたカッティングボードや小皿、スプーンなどは、使うたびに道南の森を思い起こさせてくれます。
さらに、道南杉を用いたアロマグッズも人気のアイテムです。道南杉は北海道内では比較的温暖な道南地方で育つ杉で、その精油成分が持つ香りはリラックス効果が高いと言われています。チップやポプリ、アロマオイルなどの形に加工され、旅の疲れを癒すお土産としても喜ばれています。
若手作家たちの感性と地域への愛
ショップに並ぶ作品の多くは、道南各地で活動する若手の工芸作家や陶芸家によるものです。彼らは地元の素材や伝統的な技法を学びながらも、現代の生活スタイルに合ったデザインと機能性を追求しています。大量生産品には出せない手仕事の温かさと、地域の自然や文化への深い愛着が作品に込められており、それが訪れる人の心を引きつける理由のひとつになっています。
作家の多くは函館や江差、松前といった道南の街に工房を構えており、地元の素材だけでなく、地域の食文化や漁業、農業との関わりをインスピレーションの源としています。陶器の青が津軽海峡の色を映し、木の器が函館山の木々を思わせるように、作品には作家たちが暮らす土地の記憶が刻まれています。旅行者にとっては、作品を手にすることが道南という場所との新しい縁を結ぶことにもなります。
季節ごとに変わる函館散策との組み合わせ
金森赤レンガ倉庫周辺は、季節ごとに異なる表情を見せる函館の名所でもあります。春から初夏にかけては、港を渡る潮風が心地よく、倉庫前の広場でのんびりと過ごすのに最適な季節です。GWの時期には函館港まつりの関連イベントが周辺で開かれることもあり、地元の活気を肌で感じられます。
夏は函館港まつり(8月)の季節で、港一帯が賑わいます。夕暮れどきに倉庫群のレンガがオレンジ色に染まる景色は格別で、ショップでのショッピングの後に港沿いを散歩するのがおすすめのコースです。秋になると、函館山の木々が色づき始め、落ち着いた雰囲気の中でクラフト巡りを楽しめます。
冬は函館の赤レンガ倉庫が最も輝く季節のひとつです。毎年12月から2月ごろにかけて開催される「はこだてクリスマスファンタジー」では、倉庫前の広場に巨大なクリスマスツリーが飾られ、イルミネーションが港に美しく映り込みます。この時期限定のクラフトアイテムやギフトセットも登場し、大切な人へのプレゼント探しにも最適です。
アクセスと周辺スポット
金森赤レンガ倉庫へのアクセスは複数の方法があります。JR函館駅からは徒歩約15分。函館市電(路面電車)を利用する場合は「十字街」電停で下車し、徒歩約5分で到着します。レンタサイクルを使えば、函館の坂道や港沿いの景色を楽しみながら移動できるため、天気のよい日は特におすすめです。
周辺には観光スポットが豊富に揃っています。倉庫から北へ歩くと「元町エリア」があり、異国情緒漂う洋館や教会群を巡ることができます。函館ハリストス正教会、カトリック元町教会、旧函館区公会堂などは、函館の開港以来の歴史を物語る建築物です。また、函館朝市は駅の近くにあり、新鮮な海産物を楽しむことができます。
夜には函館山からの夜景も欠かせません。「世界三大夜景」のひとつとも称される函館の夜景は、ロープウェイで山頂へ向かい、くびれた地形に広がる街の光を一望できます。クラフトショッピングの後に夜景を楽しみ、港周辺のレストランで海鮮料理を味わうというプランが、函館観光の定番コースとして多くの旅行者に親しまれています。
函館金森倉庫ローカルクラフトは、単なるショッピングスポットを超えた体験を提供してくれます。道南の自然と人の手が織りなす作品と出会うことで、この街と地域に生きる人々の物語に触れることができる。そんな豊かな旅の時間を、赤レンガの倉庫が静かに包み込んでいます。
액세스
函館市電十字街から徒歩約5分
영업시간
10:00〜19:00
예산
1,000〜20,000円