江の島の玄関口に鎮座する辺津宮は、日本三大弁財天のひとつとして名高い江島神社を構成する三宮のうち、最も麓に位置する社です。島を訪れた参拝者が最初に足を踏み入れるこの神聖な場所は、鎌倉時代から数百年にわたり、縁結び・芸道成就・航海安全の守り神として篤く信仰されてきました。
辺津宮とは――江の島信仰の起点
辺津宮は、江島神社を構成する三つの宮のうち、島の入口に最も近い場所に位置することから「下之宮」とも呼ばれています。御祭神は田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)。瑞々しい水の神として知られるこの女神は、古来より縁結びや芸道成就、海の安全を守る存在として崇敬を集めてきました。
江の島を訪れる参拝者の多くが最初に足を踏み入れるのがこの辺津宮であり、神社でのご祈祷はここで主に執り行われます。縁結びや商売繁盛、学業成就など、さまざまな願いを持つ人々がこの社を訪れ、神前に祈りを捧げます。三宮を巡る参拝においても、辺津宮はその出発点として大切な役割を果たしています。
鎌倉時代から続く社の歴史
辺津宮の創建は今から800年以上前にさかのぼります。土御門天皇の御代・建永元年(1206年)、時の征夷大将軍・源實朝(みなもとのさねとも)の命により建立されたと伝わっています。江の島はこの時代すでに弁財天信仰の聖地として知られており、源氏をはじめとする武士や貴族が盛んに参詣を行っていました。
その後、江戸時代には徳川幕府の庇護を受け、社殿の整備が進みました。弁財天信仰は庶民の間にも広まり、東海道を旅する人々が江の島詣でを楽しむ風習が定着。歌川広重の浮世絵にも江の島の風景が描かれるほど、この地は全国的な観光地・信仰の地として栄えました。現在の社殿は近代以降に改修・整備されたものですが、長い歴史の重みは境内のあちこちに息づいています。
見どころ――奉安殿と八臂弁財天
辺津宮を訪れる際にぜひ立ち寄りたいのが、境内に設けられた奉安殿です。ここには日本三大弁財天に数えられる「八臂弁財天(はっぴべんざいてん)」と、裸弁財天として知られる「妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)」の二体が安置されています。
八臂弁財天は八本の腕を持つ弁財天の姿で、鎌倉時代の作と伝えられる貴重な仏像です。一方の妙音弁財天は、全国でも珍しい裸形の弁財天像で、江戸時代に奉納されたと伝わります。いずれも国の重要文化財に指定されており、参拝と合わせて拝観する価値は十分にあります。なお奉安殿への拝観には別途拝観料が必要です。
また、社殿前に広がる境内には、「縁結び」にちなんだ絵馬掛けや、龍の彫刻が施された手水舎など、写真映えするスポットも点在しています。参拝を終えた後も、ゆっくりと境内を散策する時間を設けると、江の島の歴史と信仰の深さをより実感できるでしょう。
季節ごとの楽しみ方
辺津宮とその周辺は、四季を通じてさまざまな顔を見せてくれます。
**春(3〜5月)**は、江の島の緑が芽吹く清々しい季節。境内の木々が新緑に覆われ、穏やかな陽光の中で参拝を楽しめます。ゴールデンウィーク前後は観光客も多く賑わいますが、早朝に訪れれば静寂の中でゆったりと参拝できます。
**夏(6〜8月)**は江の島観光のピークシーズン。海水浴客や花火大会を目当てに多くの観光客が訪れます。辺津宮へ続く仲見世通りには飲食店や土産物店が立ち並び、活気ある雰囲気を楽しめます。夕暮れ時には江の島越しに沈む夕日が美しく、参拝のついでに絶景も堪能できます。
**秋(9〜11月)**は比較的落ち着いた雰囲気の中でゆっくりと参拝できる季節。境内周辺の木々が色づき始め、歴史的な社殿との調和が美しい風景を生み出します。空気が澄んでいる晴れた日には、島の高台から富士山を望める日もあります。
**冬(12〜2月)**は初詣の季節を除けば比較的空いており、落ち着いた雰囲気で参拝できます。元旦から三が日にかけては多くの初詣客が訪れ、新年の祈りを捧げる人々の列が続きます。冬晴れの日には富士山と江の島の組み合わせが特に美しく、カメラを手にした観光客も多く訪れます。
アクセスと周辺情報
辺津宮へのアクセスは、小田急江ノ島線「片瀬江ノ島駅」または江ノ島電鉄「江ノ島駅」から徒歩約20〜25分。湘南モノレール「湘南江の島駅」からも徒歩圏内です。江の島弁天橋を渡り、仲見世通りを抜けて石段を上った先に辺津宮があります。
境内はエスカー(有料エスカレーター)を使えば楽にアクセスできますが、石段を歩いて上るルートの方が、歴史ある参道の雰囲気を存分に味わえます。参道沿いには、しらす丼や生しらすを楽しめる食事処、江の島名物を扱う土産物店が多数軒を連ねており、参拝前後の散策も楽しみのひとつです。
辺津宮から先には中津宮・奥津宮と続き、さらに江の島岩屋まで歩くことができます。三宮を巡る参拝コースは片道約1〜1.5時間程度。江の島を丸ごと満喫するためにも、余裕を持ったスケジュールで訪れることをおすすめします。なお週末や連休は大変混雑するため、平日の午前中に訪れるのが快適な参拝のコツです。
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