東海道の宿場町として栄えた静岡県掛川市の中心部に、白亜の天守がそびえ立つ掛川城公園があります。戦国時代から続く歴史の重みと、市民が愛する緑豊かな公園の魅力を兼ね備えたこの場所は、掛川を訪れる旅人にとって欠かせない名所となっています。
戦国の覇者たちが育てた城の歴史
掛川城の歴史は、室町時代末期の文明年間(1469〜1487年頃)にさかのぼります。今川氏の家臣・朝比奈泰煕(あさひなやすひろ)が築いたとされる山城が、その起源です。当初は小規模な砦に過ぎませんでしたが、戦国時代の争乱のなかで次第に重要な拠点へと成長していきました。
城の歴史において特に重要な人物が、山内一豊(やまうちかずとよ)です。豊臣秀吉の家臣として知られる一豊は、1590年(天正18年)に掛川城主となり、城の大規模な拡張・整備を行いました。妻・千代の内助の功として有名な逸話を持つ一豊は、この地を拠点に着実に勢力を蓄え、のちに土佐一国を与えられて高知城主となります。掛川城は、まさに彼の出世の足がかりとなった城なのです。
江戸時代には幕府の重要な西国支配の拠点として機能し、歴代城主のもとで城下町が整備されました。しかし1854年(安政元年)、東海道を襲った安政東海地震によって天守をはじめとする多くの建物が倒壊。以後、天守は長らく再建されることなく、石垣と二の丸御殿のみが往時の姿を伝えてきました。
平成に蘇った木造復元天守
現在の掛川城天守は、1994年(平成6年)に市民の悲願として木造で復元されたものです。これは日本全国でも数少ない「木造復元天守」のひとつとして知られており、コンクリートによる復元が多い中で、伝統的な工法と素材にこだわって建てられた点が高く評価されています。
天守は地上4層・地下1階建てで、内部は資料展示室となっており、掛川城の歴史や城郭建築に関する展示を見ることができます。最上階の展望台からは、晴れた日には眼下に広がる掛川の市街地や、遠く茶畑の緑、さらに条件が揃えば富士山の雄姿を望むこともできます。急勾配の階段を登り切ったときに広がるこの眺望は、登城の苦労を忘れさせてくれる格別の景色です。
国指定重要文化財・二の丸御殿
掛川城公園の見どころとして、天守と並んで必ず訪れたいのが「二の丸御殿」です。1861年(文久元年)に再建されたこの建物は、江戸時代後期の書院造建築の様式を今に伝える貴重な遺構で、国の重要文化財に指定されています。
全国的に見ても、江戸時代の城郭御殿が現存している例は極めて少なく、掛川城の二の丸御殿はその希少性においても高い価値を持ちます。大書院・小書院・詰之間・湯殿などの諸室が連なる内部は、当時の藩主の生活空間や公式行事の場としての様子を伝えており、凛とした武家の美学が随所に感じられます。縁側から眺める庭園の景色も落ち着いた風情があり、時間をかけてゆっくりと鑑賞したい空間です。
四季折々の表情を楽しむ
掛川城公園は、季節ごとに異なる美しさを見せてくれます。
春(3月下旬〜4月上旬)には、公園内のソメイヨシノが一斉に咲き誇り、白い天守と桜のコントラストが見事な景観を生み出します。「掛川城桜まつり」の時期には多くの人が訪れ、花見を楽しみながら歴史ある城を眺める光景が広がります。夜間のライトアップも行われることがあり、昼とはまた異なる幻想的な雰囲気を楽しめます。
夏は緑が深まり、木陰が涼しい散策コースとして親しまれます。城を取り巻く石垣の緑と青空の組み合わせが清々しく、城下町の歴史を感じながらゆったりと過ごせます。
秋(10月〜11月)になると木々が色づき、赤や黄に染まった葉と白亜の天守のコントラストが美しい紅葉の季節を迎えます。空気が澄み、遠くの景色まで鮮明に見えるこの季節は、展望台からの眺めが特に素晴らしいとされています。
冬は来園者が落ち着き、静かに城を散策するのに適した時期です。空気が澄んだ晴れた日には富士山が美しく見え、雪化粧をした富士と掛川城を同時に眺められることもあります。
アクセスと周辺の楽しみ方
掛川城公園へのアクセスは非常に便利です。JR東海道本線・掛川駅の北口から徒歩約5〜7分という好立地にあり、新幹線(こだま停車)を利用すれば静岡市や浜松市からのアクセスも容易です。東名高速道路・掛川インターチェンジからは車で約10分程度。公園周辺に有料駐車場もありますが、鉄道利用が便利でしょう。
周辺には見どころが多く、掛川城公園の観覧をセットで楽しめます。駅から城へと続く城下町の街並みには、歴史的な趣のある建物や商店が点在しており、散策するだけで旅情が高まります。また、掛川市は「掛川茶」の産地としても有名で、市内には茶畑や茶の専門店が多く、質の高いお茶を手土産に購入することができます。
城の北側には「掛川花鳥園」があり、家族連れにも人気の観光スポットとなっています。掛川城と合わせて半日〜一日かけてゆっくり回るプランがおすすめです。
開園時間は通常9:00〜17:00(最終入場16:30)で、月曜休館(祝日の場合は翌日)となっています。入場料は天守と二の丸御殿をセットで観覧できるチケットが設定されており、両方を訪れることで掛川城の歴史と建築の魅力を余すことなく体験できます。詳細は掛川市の公式ウェブサイトまたは電話(0537-21-1154)にてご確認ください。
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