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京都を歩く——哲学の道・東山の石畳・嵯峨野の竹林をめぐる散策ガイド
観光・体験
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京都を歩く——哲学の道・東山の石畳・嵯峨野の竹林をめぐる散策ガイド

京都は「歩いてこそ」の街

京都の魅力は、地下鉄やバスの車窓からは決して見えてきません。寺社の参道を覆う石畳、疏水沿いに延びる桜並木、竹がトンネルをつくる小径——そのどれもが、自分の足でゆっくり辿ってこそ味わいの増す道です。ここで紹介するのは、急いで通り過ぎるにはもったいない「歩く京都」の散策路。哲学の道、東山の石畳、嵯峨野の竹林といった、京都ならではの小径を、季節の見どころとともにご案内します。歩くスピードだからこそ気づける路地の表情を、ぜひ楽しんでください。

哲学の道——疏水沿いに桜と紅葉をたどる

東山のふもと、銀閣寺橋から若王子橋までを結ぶのが哲学の道です。琵琶湖から京都へ水を引く琵琶湖疏水の分線に沿って、約1.5〜2kmにわたって続く石畳と土の小道で、「日本の道100選」にも選ばれています。哲学者・西田幾多郎がこの道を散策しながら思索にふけったことが名の由来とされ、水のせせらぎを聞きながらの一歩一歩は、まさに思索のための速度です。

春には疏水の両岸を約450本の桜が彩り、散った花びらが水面を流れていきます。桜の見頃は例年3月下旬から4月上旬。南端の若王子橋からさらに南へ歩けば、レンガ造りのアーチが美しい南禅寺の水路閣、そして傾斜鉄道跡に桜が連なる蹴上インクラインへとつながり、琵琶湖疏水の物語を歩いて辿ることができます。蹴上から哲学の道までを通しで歩くと2〜3km、ゆっくりで1時間ほどの行程です。秋には沿道の寺社、とりわけ南端近くの「もみじの永観堂」が11月中旬から下旬に色づき、春とはまったく違う表情を見せてくれます。

東山の石畳——二年坂・三年坂からねねの道へ

清水寺へ向かう参道、二年坂(二寧坂)と三年坂(産寧坂)は、京都の石畳歩きの代名詞です。緩やかな石段の坂道に伝統的な町家や土産物店、甘味処が軒を連ね、坂の上には八坂の塔(法観寺)が顔をのぞかせます。この一帯は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定され、電線や看板まで景観に配慮されているため、どこを切り取っても絵になります。

二年坂の北側へ抜ければ、円山公園から高台寺の前を通る「ねねの道」へ。豊臣秀吉の妻・ねね(北政所)にちなんで名づけられた約400mの石畳の道で、坂の喧騒とは対照的に静かで落ち着いた佇まいです。その傍らに延びる石塀小路は、両側を石塀に囲まれた細い小径。足元の石畳は、かつて京都の街を走った市電の敷石を再利用したものと伝わります。八坂神社を起点に、円山公園、ねねの道、石塀小路、二年坂、三年坂と辿って清水寺へ——坂と石段が続くので、歩きやすい靴が安心です。

嵯峨野の竹林の小径と奥嵯峨

嵐山の渡月橋から少し北、嵯峨野には京都を象徴する竹林の小径があります。野宮神社から天龍寺の北門を抜け、大河内山荘へと至る約400mほどの道で、空を覆うほど高く伸びた竹がトンネルをつくり、風に揺れる葉のざわめきと木漏れ日の縞模様が幻想的です。観光客の絶えない人気の道ですから、静けさを味わうなら早朝の訪問が断然おすすめ。竹の影が長く伸びる朝の光は、写真映えという点でも格別です。

竹林を抜けてさらに奥嵯峨へ足を延ばせば、紅葉の名所として知られる常寂光寺や二尊院が点在し、観光地の賑わいから一転、田畑と山裾の素朴な風景が広がります。秋の見頃は11月中旬から下旬。常緑の竹と紅葉の赤が同居するこの季節は、嵯峨野歩きが一年で最も美しくなる時期です。JR嵯峨嵐山駅から西へ徒歩約10分、嵐電(京福電鉄)の嵐山駅からも歩いてすぐです。

祇園白川の石畳——夕暮れの花街を歩く

繁華街・四条通のすぐ北に、別世界のような石畳の道があります。祇園白川です。白川のせせらぎに沿って桜と柳の並木が約200mほど続き、紅殻格子のお茶屋が川面に影を落とす様子は、京都らしい風情の極み。一帯は重要伝統的建造物群保存地区で、巽橋のたもとから望む景色は、京都でも屈指の撮影スポットとして知られています。

白川沿いには染井吉野やしだれ桜など40本余りの桜があり、見頃は例年3月下旬から4月上旬。夜にはライトアップも行われ、川面に映る宵桜が幻想的です。白川南通から四条通へ抜けると、石畳が続く花見小路。今も料亭やお茶屋が灯りをともす祇園のメインストリートで、夕暮れどきには打ち水された石畳が艶やかに光ります。昼の華やぎとはまた違う、灯ともしごろの花街の表情を歩いて確かめたい一画です。

伏見——酒蔵の街並みと疏水を歩く

少し趣を変えて、平坦な道をのんびり歩きたいなら伏見へ。京都市の南に位置するこの街は、良質な地下水に恵まれた「名水の街」として、古くから酒造りで栄えてきました。濠川(宇治川派流)のほとりには白壁土蔵の酒蔵が建ち並び、柳越しに水面を眺めながらの散策は、坂の多い東山とはまた違う落ち着いた時間が流れます。

月桂冠大倉記念館では、明治期の酒蔵を活かした建物で酒造りの歴史にふれられ、その南の弁天橋のたもとからは、屋形船仕立ての「十石舟」(有料)に乗って川から街並みを眺めることもできます。河童でおなじみの黄桜記念館や、複数の蔵元の地酒を飲み比べできる伏水酒蔵小路など、立ち寄りどころも徒歩圏内。坂が少なく歩きやすいので、東山や嵯峨野で歩き疲れた翌日の、ゆるやかな一日にも向いています。

歩く前に——季節と足ごしらえのメモ

京都歩きで覚えておきたいのが、まず時間帯です。哲学の道も竹林の小径も、人気の散策路は日中に混み合うため、静けさと光の美しさを求めるなら早朝が一番。桜は3月下旬から4月上旬、紅葉は11月中旬から12月上旬が大まかな目安ですが、清水寺や東福寺の紅葉は11月下旬から12月上旬と少し遅めです。

もう一足のばす元気があれば、京都御苑の砂利道もおすすめ。東西約700m、南北約1.3kmに及ぶ広大な苑内は通路が舗装されておらず、玉砂利を踏みしめる音とともに、御所の築地塀や約120本の梅林を眺めてのんびり歩けます。地下鉄烏丸線の丸太町駅や今出川駅が便利です。最後にもう一点、京都の散策路は石畳や石段、土の道が多く、雨上がりは滑りやすくなります。履き慣れた歩きやすい靴で、無理のないペースで巡るのが、この街を一番楽しむコツです。

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Written by

木村 さくら

アウトドアライター

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